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バスや送迎車の現在位置がわかるシステムの作り方

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2023/08/15

毎日、通学に使っているスクールバス。
バス停で待っていて、時間通りに来ないと不安ですよね。
もう行ってしまったのではないかと心配になったりします。
そんな時、自分が乗るバスが今どこにいるか?
スマホで簡単に確認できると便利で安心です。

バスを運行するバス会社さんも、利用者から、
「今、バスはどこら辺ですか?」
という問い合わせの電話があると大変。
事務所から、ドライバーに電話をして確認、運転中だと電話に出られないから、折り返しの電話。
事務所から、問い合わせて来た方に電話。
ここまでやるだけで、あっという間に10分、15分が過ぎていきます。
ドライバーさんも車を止めて電話をするので、更にバスが遅れて負の連鎖。

そんな混乱を防ぐために、バスや送迎車の利用者がスマホで現在位置がわかるシステムを採用する会社や学校も増えています。
そこで、今回はバスや送迎車の現在位置がわかるシステムの作り方について解説します。

 

バスの現在位置を知るために必要なもの

バスの現在位置がわかるシステムを作るためには次の3つが必須です。
・車載器
・サーバ
・表示システム
これらがそれぞれ機能を果たすことで、バスの利用者が速やかに現在位置を知ることができます。
それでは、順番に内容を解説します。

車載器

バスや送迎車に載せて、位置情報を発信する装置です。
必要な機能として以下の2つがあります。
・GPS(位置情報の受信)機能
・通信機能(携帯電話通信を使って位置情報を送信)

これに加えて、ドライブレコーダーだったら、運転中の映像の記録や、カーナビゲーションだったら、道路の案内など。
IP無線機だったら通話やメッセージの送信などの本来の機能を利用することができます。

現在、この機能を持っている車載器は、
・カーナビゲーション(パイオニア ビークルアシスト対応機)
・ドライブレコーダー(パイオニア ビークルアシスト対応機)
・IP無線機(モバイルクリエイト社製)
・スマートホン
などがあります。
上記以外にもM2Mと呼ばれる通信装置内蔵の機械とGPSを連携したシステムを自作することもあります。

カーナビゲーション、ドライブレコーダー、IP無線機は車載専用機なので、車内の過酷な環境(高温、高湿度、直射日光、汚れやホコリ)などにも対応しています。
スマートホンは入手しやすく、使い勝手もいい反面、自動車の車内で利用を続けると故障や暴走などを起こしやすくなります。
なお、GPS機能と通信機能を持ったドライブレコーダーは他にも数多くありますが、外部とデータ連係をするためのAPIの提供がないものは、利用することができません。

車載器を選定するときに確認が必要なのは、データの送信間隔です。
位置情報の送信間隔が5秒なのか、10秒なのか、5分なのか?で位置情報の精度が大きく変わってきます。
例えば、車の速度は、頻繁に信号にひっかかる都心部と、信号の間隔が長い郊外では大きく違いますが、信号待ちや停車時間などを含めると、およそ時速30キロ程度になります。
位置情報の送信間隔が12秒(1分間に5回)の場合、100mの移動です。

送信間隔を短くすると、位置情報の精度は向上しますが、サーバの情報量が増えるため、レスポンスの悪化とサーバコストが大きくなります。
逆に送信間隔を長くすると、位置情報の精度が悪くなり、スマホ上ではバスはまだ来ていないのに、実はもう通過していた、なんてことも起こります。
このあたりのバランスが重要です。

サーバ

車載器から送られてくる、位置情報と時間、その他データを蓄積し、表示するシステムを動作するためのサーバです。
以前(2000年代)は自社でサーバを用意して運用することもありましたが、保守が大変だったため、現在はほぼすべてがクラウド上のサーバを利用しています。
具体的には
・AWS (Amazon)
・azure (Microsoft)
・Bluemix (IBM)
などがあり、月額数千円から利用できます。

サーバで動くアプリケーションの開発は自社で行うことが必要です。ここが、このシステムで最も重要な部分といってもいいでしょう。
サーバの開発は表示システムとも大きな関係があります。そのため、一緒に開発することが多いようです。

表示システム

利用者がバスの現在位置を知るための窓口のことです。
具体的には、以下の4つがあります。
・メール
・LINE
・ブラウザ
・専用アプリ
また、公共の場所ではサイネージを使う場合もあります。
では、それぞれの表示システムのメリット・デメリットについて解説します。

メール

メールは、バスが指定の場所を通過や発進したタイミングで登録者にメールを送ります。
<メリット>
・メールが送られてくると、バスが来ることを意識する
・メールは誰でも使っている
<デメリット>
・メールを見ない人が増加(20〜30代)
・たくさんメールが送られてくると、読むのが面倒で開封されない
・メールを送る場所を設定するのが大変

LINE

LINEは、アプリ上の”今どこ”をタップすると、バスの現在位置が返ってきます。
<メリット>
・LINEアプリは国民のほとんどの人が使う定番アプリ
・高齢者も簡単に使える
・新たにアプリをインストールする必要がない
・操作が簡単
・登録が簡単
<デメリット>
・高齢者の利用が難しい
・バスの現在位置を確認するだけ(通過時間や到着予定時間は出ない)

ブラウザ

スマホのブラウザ(safariやchrome)を使う方法もあります。
<メリット>
・アプリのインストールが不要
・操作が簡単
・スマホ以外にパソコンやタブレットでも使える
<デメリット>
・URLの登録が面倒
・画面の表示の大きさがスマホの機種によって変わる
・ブラウザのヴァージョンによって表示の不具合が発生することがある

専用アプリ

専用アプリを利用する方法もあります。
<メリット>
・表示方法を自由に設計できる
・操作方法を自由に作ることができる
<デメリット>
・アプリをインストールするのが面倒
・アプリの開発費用が高い
・iosとアンドロイドの両方のアプリを用意する必要がある
・アプリのヴァージョンアップ管理が大変

 

スマホではありませんが、大きなサイズのモニタを使ったサイネージで案内する方もあります。
サイネージは施設の中や駅など、建物の中に設置されることが一般的です。
サイネージの画面制御はブラウザを使います。
ブラウザの表示に小型のPC(パソコン)を接続したり、Androidテレビを利用します。
無線LAN(Wi-Fi)が不安定だったり、停電が起こると動作が不安定になって、正常に表示されないこともあるので取扱いが難しいです。

モークルは、車載器に、ビークルアシストのドライブレコーダーを採用しています。
入手しやすく、動作も安定していながら、車載器として耐久性があります。
また、ビークルアシストには豊富なAPIが用意されていて、これを使って現在位置情報をサーバに蓄積しています。
サーバはAWSを採用しています。
表示システムにLINEを利用することで多くの人が、簡単で使いやすいシステムになっています。

 

「MOQUL(モークル)」について詳しくはこちら
https://moqul.net/

(執筆者:山口 功司)

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