モークル誕生ヒストリー 第2話】何もないまま、市役所へ ― 坂下コミュニティバスでの実証実験|モークルストーリー
モークルストーリー
2026/10/16

前回の第1話では、園長先生の一言、LINE Bot、パイオニアのAPIという3つのピースがそろい、エンジニアの方から「出来ると思いますよ」と即答をもらうところまでをお話ししました。第2話は、地元・中津川市の市役所を訪ね、実際のバスで実証実験を始めるまでのお話です。
何もないまま、市役所へ
仕組みは作れそうだ。けれど、本当にバスの動きに合わせて、LINEの位置情報が変わっていくのか。理論的には間違いないはずですが、実際に走るバスで試してみなければ分かりません。
そこで目を付けたのが、地元・中津川市のコミュニティバスでした。市役所でコミュニティバスの担当部署をたずねると、定住推進課だと教えてもらい、そのままアポなしで訪ねました。地元の会社とはいえ、「変なやつが来たな」と思われたことでしょう。
しかも、このときはまだ何もない状況でした。プログラムもなければ、LINEの画面もありません。それでも、とにかくお願いしました。
「バスの利用者が便利になるシステムを開発しているので、これができあがったら、コミュニティバスで実験させてほしい」
「坂下を走るバスがいいと思う」
ありがたいことに、職員の方の中に、この話に理解を示してくださる方がいました。そして、こんな提案をしてくださったのです。
「坂下を走るコミュニティバスがいいと思う。朝は学生が使うので、便利になると思う」
実験の場所が、このとき決まりました。
「あれから、どうしたかな」
それから、パイオニア社との契約手続き、システムの開発、そして社内でのテストを進めました。形になったところで、あらためて定住推進課を訪ねると、担当の柘植良吾さんがこうおっしゃいました。
「あれから、どうしたかな、と思っていたところでした」
何もない段階でお願いに来た私のことを、ずっと気にかけてくださっていたのです。この一言は、本当に励みになりました。
市の担当の方からは、コミュニティバスが抱える悩みも聞いていました。利用者がなかなか増えない。車社会なので、そもそもバスに乗る人が少ない。運行してほしいという要望はあるのに、走らせても乗ってもらえない。バスがいつ来るか分かれば、乗ってみようと思う人が増えるかもしれない。私たちの実験は、市にとっても試してみる価値のある取り組みとして受け止めていただけたのだと思います。
冬の朝一番の便で
2017年1月、坂下地区を走るコミュニティバスに車載器を取り付け、ようやくテストの環境が整いました。
私は冬の朝一番の便に同乗し、スマートフォンを手に、LINEに返ってくる位置情報がバスの実際の場所と合っているかを確かめました。バスに乗っていた高校生たちは、「知らないおじさんが乗っているな」と思ったことでしょう。
結果は、問題なし。バスの動きに合わせて、LINEの位置情報もきちんと変わっていきました。
「坂下コミバス」、走り出す
動作が確認できたところで、バスの利用者の方々にLINEのQRコードをお渡しし、「ぜひ使ってみてください」とお願いしました。LINEで「坂下コミバス」を友だちに追加し、トーク画面で「どこ?」などと送ると、15秒ごとに更新されるバスの現在位置が、文字と地図で返ってくる仕組みです。
実証実験は1月30日から3月末までの2か月間。中津川市、パイオニア社、そして私たちの三者でプレスリリースを行い、岐阜新聞(2017年1月28日付)などにも取り上げていただきました。
何もない段階でのお願いに耳を傾け、待っていてくれた地元の応援があったからこそ、モークルは最初の一歩を踏み出すことができました。
次回予告
この新聞記事が、思いがけない展開を呼び込みます。記事を目にしたLINE社の役員の方の書き込みをきっかけに、私たちは東京の大きな舞台に立つことになるのです。次回は、LINE BOT AWARDSへの挑戦のお話です。






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