午睡チェックとは?保育士が注意すべきポイントとシステム活用方法
幼稚園・保育園のIT化
2022/02/25
午睡はひるねを意味し、保育活動において睡眠時間を確保することです。
午睡の際には保育士が子どもの状態をチェックしますが、目視や手作業で複数の子どもを確認するのは大変責任のある業務です。
本記事では睡眠中の子どもの安全を第一に考えながら業務効率を図ることができる午睡チェックシステムの活用について紹介します。
午睡チェックとは?
午睡とは?
午睡時間は昼食後から午後おやつが始まるまでの時間帯で確保されています。
保育所保育指針にも「午睡は生活のリズムを構成する重要な要素」として記載されており、一日のデイリープログラムの中に午睡も含めて計画を立てていくものだと考えられます。
午睡の時間帯や時間数には規定を設けられていません。
これは子どもの成長発達や体力に個人差があるためです。
このため、子ども一人ひとりに合わせて午睡時間をとる必要があります。
午睡チェックの必要性
睡眠中は子どもの事故が起きやすく、一日の中でも特に注意を必要とします。
保育所保育指針においても事故防止及び安全対策が必要な活動の一つとして「睡眠中」が挙げられています。
これは、乳幼児の死亡原因にうつぶせ寝による窒息死や乳幼児突然死症候群(SIDS: Sudden Infant Death Syndrome)があるからです。
令和元(2019)年はSIDSで亡くなった乳幼児は78人で、1歳未満児の死亡原因の第4位でした。
また、午睡チェックは自治体が実施する保育施設の指導検査の項目にも含まれています。
以上のことから、午睡チェックは必ず実施して子どもの安全を常に確認しなければなりません。
午睡チェックを行う際の注意点
午睡の際にはチェックを担当する保育士が1名以上付き、子どもの状態を確認していきます。
午睡チェックはただ子どもが寝ているかどうかを確認すればいいのではなく、注意しなければならないポイントがあります。
ここでは午睡チェックの際の注意点を3つ紹介します。
一定時間毎に子どもの睡眠中の状態を観察する
昼食を食べた後に眠るので、口の中に食べ物や嘔吐物がないか確認してから寝かしつけます。
子どもは顔が見えるよう仰向けにし、途中で寝返りを打ってうつぶせになってしまった場合は仰向けに戻します。
子どもが入眠すると午睡チェックが始まります。
特にリスクが高い0歳児は5分毎、1歳児以上は10分毎に午睡チェックをしている園が多いです。
子どもの睡眠状態を確認するタイミングは自治体などの指導によって推奨された時間に従うとよいでしょう。
午睡チェックでは目視や直接触れることで次の項目を確認し、チェックシートに記録します。
- 名前の確認・顔色・唇の色
- 呼吸状態の有無(呼吸音・胸の動き)
- 呼吸の様子(咳・ゼーゼー・鼻づまり)
- 熱感(体に触れて体温・発汗等)
- 体位
睡眠環境等を確認する
子どもが安全に眠ることができるよう睡眠環境を整えて異常がないか確認します。
主に注意すべきなのは次の項目です。
- 寝ている子どもの周囲にぬいぐるみ、玩具、タオル、ヒモ状のものを置かない
- 部屋は暖めすぎず、床暖房やホットカーペットは使用しない
- 適宜換気を行う
- カーテンは基本的には開けておく(直射日光や寒さ防止といった必要な場合を除く)
紹介した睡眠状態と環境等の確認については、内閣府の「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議等」で議論されたガイドラインにて啓発されています。
参考:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122587.html
午睡番になったら午睡の見守りだけを行う
午睡中は保育士にとって話し合いしたり事務作業をしたりすることのできる貴重な時間です。
しかしながら、午睡番になった保育士は午睡チェック中には子どもの見守りに集中します。
午睡チェック中に他の作業をしてしまうと一定時間毎のチェックを忘れてしまったり、子どもの異変の見落としが出てくる可能性があるからです。
午睡番は子どもの命に関わり責任や負担が大きいので、保育士同士で時間を決めて交代するなど負担軽減が必要です。
午睡チェックシステムの活用
午睡番は事務作業などの他の業務ができないことから午睡番の保育士のみならず他の保育士の業務圧迫にもなりかねません。
このため、保育士の負担を軽減するために期待されるのが午睡チェックシステムの活用です。
ICT化を進めて午睡チェックシステムを取り入れることで子どもの安全を確保しながら保育士の負担も軽減できるよう工夫している園も増えてきています。
午睡チェックシステムを活用するメリット
・保育士の負担軽減
午睡チェックは一定時間毎に行います。
手作業だと確認からチェックシートへの記録まで行うと時間がかかってしまいます。
午睡時の呼吸・体位、睡眠状態の点検に関する実態調査によると、18名分の午睡中の点検には平均2分50秒、一人あたり平均9.4秒を要します。
手際よく一人ひとりの状態を確認できればいいですが、実際には体位を直したり咳込んだり起きてしまった子どもがいればあやさなければなりません。
そのようにしていると一人にかける時間はもっと長くなり、5分毎の確認が難しくなるケースも出てきます。
午睡チェックシステムを活用すればセンサーやカメラで子どもの体動を管理できるのでチェック作業がスムーズになり、午睡番の負荷の軽減につながります。
参考:馬場 耕一郎 「保育施設における午睡中の安全確認について」
https://kwansei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=27223&item_no=1&page_id=30&block_id=85
・安全性の向上
午睡チェックは園児の安全を目的としています。
保育士の負担が軽減されても、安全が損なわれては意味がありません。
午睡チェックシステムを導入すれば、保育士とICTシステムによるダブルチェックが実現します。
異常の見落としやチェックシートへの記入漏れなどの人的ミスの防止効果が期待できるでしょう。
また、異常時にアラート通知がある機能だと、保育士はいち早く異常に気が付いて対応することが可能になります。
・記録業務の効率化
これまで多くの園では、午睡チェックシートの記入は手書きで行われていました。
午睡チェックシステムを使用すれば、センサーやカメラで検知した子どもの体の向きが自動で管理画面に記録されるので、毎回手書きで記録を取っていく必要はありません。
システムに登録した記録はExcelやPDFへの出力も可能です。
出力した午睡チェックシートは指導検査の際にも資料として提出できます。
毎日自動で記録されていくので、指導検査のために記入が漏れていた書類を慌てて用意しなければならないといった事態を避けることができます。
また、午睡チェックシステムと併せて園全体のICT化を進めることで書類への記録などの作業負荷が減り、業務の効率化が期待できるでしょう。
午睡チェックシステムを活用する際の注意点
- 午睡チェックシステムに任せきりにしません。必ず保育士の目視での確認とセットで行います。
- 午睡番を交代する時には子どもの状況で気になることがあれば口頭やメモで引き継ぎましょう。誰が午睡番になっても見落としがないようにします。
保育ICTシステム「うぇぶさくら」で午睡チェックができる
午睡チェックシステムにはさまざまな種類がありますが、午睡チェックシステム単体のものでなく園全体の業務をICT化できる複合的なシステムの一部としての導入が望ましいでしょう。
なぜならシステムは一元管理できた方が管理しやすく、各機能同士で連携できるからです。
保育士たちの希望から生まれた総合保育支援システムである「うぇぶさくら」は、登園管理や指導計画、発達チェックといった園児管理、請求管理、職員の勤怠管理といった複数の機能を備えています。
その中の一つに「午睡マット」機能があります。
午睡マット機能では、センサーマットから感知される心拍、呼吸、体動の生体情報を、サーバーを通してモニターに表示します。
人間の目視だけでは判断できない午睡時の状況を午睡センサーがモニターし、呼吸や体動、心拍に異常を検知した場合にアラートで通知して保育士に知らせます。
また、マットは布団やマットレスの下に設置するだけでよく、完全コードレスなので安全にも配慮しています。
▼総合保育管理システム うぇぶさくら
https://web-sakura.jp/
https://moqul.net/contact
まとめ
午睡は保育の中で特に安全面に気を付けなければならない時間帯です。
午睡チェックは子どもの睡眠状態や睡眠環境を専ら確認する、保育士にとっては負荷が高い業務です。
午睡チェックシステムを活用することで子どもの睡眠状態をセンサーやカメラがチェックし、自動的に記録できます。
午睡マット機能がある「うぇぶさくら」では他の機能と併せて一元管理ができるので、保育士の業務全体を効率化し、負荷の軽減につながるでしょう。