部活動遠征を「安全に、仕組みで」支える体制づくり【部活動の遠征・送迎シリーズ第7回・最終回】
スクールバス
2026/09/16 (更新日:2026/09/05)

【連載シリーズ 第7回/全7回・最終回】部活動の遠征・送迎を見直す
第1回:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
第2回:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか
第3回:貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点
第4回:部活動の「地域移行」で増える、学校外への移動ニーズ
第5回:遠征中の位置情報共有、保護者・学校間でどう仕組み化するか
第6回:中学校の部活動送迎、小学校の統廃合対応とは違う課題
全7回にわたってお届けしてきた本シリーズも、今回が最終回です。これまでの内容を振り返りながら、部活動の遠征・送迎を「属人的な対応」から「組織的な仕組み」へと移行するために、学校・教育委員会が取り組めることを整理します。
これまでの振り返り
- 第1回:令和8年5月の重大事故を受け、文部科学省・国土交通省が部活動遠征等の移動の安全確保について通知を発出したこと
- 第2回:遠征の移動手段が、顧問個人の経験や人脈に依存した属人的な手配になりやすい実態とそのリスク
- 第3回:貸切バス・自家用車・教員運転など、移動手段ごとの法令上の注意点と「安全管理チェックシート」
- 第4回:部活動の地域移行によって生じる、学校外への日常的な移動ニーズ
- 第5回:遠征特有の「今どこ」問題と、位置情報共有の仕組み化
- 第6回:合同部活動の急増など、中学校特有の移動課題
こうして振り返ると、部活動の遠征・送迎をめぐる課題は、安全確保・法令順守・移動手段の確保・情報共有という、いくつもの側面が絡み合っていることが分かります。
属人的な対応から組織的な仕組みへ
これまでの各回で共通して指摘してきたのは、「誰か一人(多くは顧問)の経験や努力に依存した対応」から、「学校・教育委員会として管理する仕組み」への移行が必要だという点です。国が示した対策の中でも、ガバナンスの徹底や運転者の手配の在り方が、繰り返し重要な柱として挙げられていました。
具体的には、次のような取り組みが、その第一歩になります。
- 遠征の移動手段の手配窓口を、学校として一元化する
- 運転者・事業者との依頼内容を、記録が残る形で管理する
- 「安全管理チェックシート」などを活用し、免許・保険・車両の状態を事前に確認する
- 危機管理マニュアルに、校外活動時の移動に関する記載を反映する
既存の移動インフラを活かすという選択肢
本シリーズを通じて繰り返し触れてきたのが、通学用のスクールバスを部活動の遠征にも活用するという選択肢です。運行主体・運転者・車両があらかじめ明確であることに加え、日頃の通学で使い慣れた位置情報共有の仕組みを、そのまま遠征にも流用できるという利点があります。
移動距離が長い大会への遠征を抱える学校では、こうした仕組みによって、保護者にとっての「今どこ」「何時に帰ってくるのか」という不安を軽減できるだけでなく、日頃運行を担うドライバーの稼働機会の確保にもつながるといった声も聞かれます。
また、第4回・第6回で見てきたように、部活動の地域移行や合同部活動の広がりによって、学校外への移動は今後さらに日常的なものになっていきます。遠征という非日常的な場面だけでなく、こうした日常的な移動ニーズにも対応できる仕組みを、早い段階から検討しておくことが望ましいといえます。
学校・教育委員会へのチェックリスト
本シリーズのまとめとして、部活動の遠征・送迎を見直す際に確認しておきたいポイントを一覧にしました。
- 遠征の移動手段を、誰が・どのような基準で手配しているか把握できているか
- 貸切バス・タクシー事業者に依頼する場合、正規の許可事業者かどうかを確認しているか
- 自家用車・レンタカーを使用する場合、安全管理チェックシートを活用しているか
- 運転者の免許種別(第一種・第二種、車両規模に応じた区分)を確認する体制になっているか
- 緊急時の連絡体制が、保護者を含めて事前に共有されているか
- 部活動の地域移行に伴う、日常的な移動ニーズへの対応を検討しているか
- 通学用のスクールバスなど、既存の移動インフラを遠征・部活動送迎に活用できないか検討しているか
これらすべてを一度に整えることは簡単ではありませんが、まずは自校・自治体の現状がどこに当てはまるかを確認することから始めてみてください。
よくある質問
Q. このシリーズで紹介した内容は、公立・私立どちらの学校にも当てはまりますか?
はい。文部科学省の通知は、教育委員会だけでなく私学を所管する部局にも発出されており、公立・私立を問わず参考になる内容です。
Q. すべてのチェックリスト項目を、すぐに整備するのは難しいのですが、どこから始めればよいですか?
まずは「遠征の移動手段を誰がどのような基準で手配しているか」の現状把握から始めることをおすすめします。実態が見えないままでは、他の項目の優先順位も判断しにくいためです。
Q. 通学用のスクールバスがない学校でも、参考になる内容はありますか?
はい。安全管理チェックシートの活用や、運転者の免許確認、緊急連絡体制の整備といった項目は、スクールバスの有無にかかわらず、すべての学校に共通する取り組みです。
Q. このシリーズの内容について、直接相談することはできますか?
学校・教育委員会向けの位置情報・乗降管理システムについてのご相談は、school.moqul.netの窓口よりお問い合わせいただけます。
まとめ
- 部活動の遠征・送迎の課題は、安全確保・法令順守・移動手段の確保・情報共有が絡み合っている
- 属人的な対応から、学校・教育委員会としての組織的な仕組みへの移行が求められている
- 通学用のスクールバスなど既存の移動インフラの活用は、安全性と効率性の両面でメリットがある
- 部活動の地域移行・合同部活動の広がりにより、日常的な移動ニーズは今後さらに増えていく見込み
- まずは自校・自治体の現状を、チェックリストに沿って確認することから始めることが第一歩
全7回にわたりお読みいただき、ありがとうございました。部活動の遠征・送迎を見直すきっかけになれば幸いです。
この連載の記事一覧
- 第1回:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
- 第2回:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか
- 第3回:貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点
- 第4回:部活動の「地域移行」で増える、学校外への移動ニーズ
- 第5回:遠征中の位置情報共有、保護者・学校間でどう仕組み化するか
- 第6回:中学校の部活動送迎、小学校の統廃合対応とは違う課題
- 第7回:部活動遠征を「安全に、仕組みで」支える体制づくり(この記事・最終回)






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