自治体がLINE公式を利用するメリット・デメリットとは?具体的な活用事例もご紹介
お役立ち情報
2022/11/18
ユーザーに対してリアルタイムに情報を届けることが可能なLINE公式アカウントですが、近年では企業だけでなく自治体での活用が増えてきています。
特に「行政・学習・医療・相談」の分野はLINE公式アカウントと親和性が高く、すばやく確実に多くの住民に情報を届けられるため、今後も多数の自治体で導入が進むと予想されています。
今回の記事では、自治体でのLINE公式アカウント利用が増えている理由や、LINE公式アカウントのメリットとデメリット、具体的な活用事例などをご紹介します。
自治体のLINE利用は増えているのか?
LINE株式会社では、自治体の行政サービスのデジタル化を支援するため、2019年から1自治体につき1つLINE公式アカウントを無償で提供する「地方公共団体プラン」を展開しています。
当初、LINE公式アカウントを開設していた自治体数は約190と全国の1割ほどでしたが、「地方公共団体プラン」発表後は、利用自治体が増加。
現在は約1,200と全国の約7割の自治体がLINE公式アカウントを開設しており、情報発信や行政手続き、相談受付など、さまざまな行政サービスが提供できる「持ち運べる役所」として活用されています。
▼参考
LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー「LINE公式アカウント 地⽅公共団体プラン 媒体資料」
https://www.linebiz.com/sites/default/files/media/jp/download/line-local-public-plan.pdf
LINE公式アカウント活用のメリット
自治体がLINE公式アカウントを活用することには、多くのメリットがあります。
主なメリットをユーザー側と自治体側からそれぞれ見ていきましょう。
ユーザー側のメリット
地域の情報をすぐに受け取ることができる
ユーザー側の大きなメリットは、自分の住んでいる地域の情報をすばやくかつスムーズに受け取れることができる点です。
普段から利用者の多いLINEは、通知があればすぐに気がつきます。災害情報など少しでも早く知りたい情報に関しても、リアルタイムで受信することが可能です。
手続きを簡単に済ませられる
さまざまな手続きがLINEで簡単に済ませられるのも、うれしいメリットです。
自治体によってはパスポートや運転免許証の更新などの手続きも可能で、窓口や受付施設に時間を割いて出かける手間が省けます。
東京都の渋谷区など、住民票の申請をLINE公式アカウントで済ませられるところもあります。
▼参考
渋谷区「LINEによる住民票の写しの交付」
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/jumin/linejumin.html
気軽に問い合わせができる
平日や日中に限らず、いつでも好きなときに好きな場所から、スマートフォン1一台で問い合わせができるのも非常に便利です。
最近は電話が苦手な若者も増えていますが、LINEでメッセージを送るだけなら、友達とやり取りするような感覚で気軽に問い合わせができます。
特に、いじめなどの電話相談窓口でLINE公式アカウントが効果的で、電話相談件数に比べ、LINE経由での相談件数が激増したという報告もあり、今後もさまざまな相談窓口での活用が検討されています。
自治体側のメリット
重要な情報をすばやく伝達できる
LINEの国内の月間利用者数は8,600万人(2020年9月末時点)。非常に多くのユーザー数を誇ります。
普段から利用され、随時チェックするユーザーが大半を占めることから、メールやハガキなどに比べ、緊急性のある重要な情報をより多くの人に、よりすばやく伝えることが可能です。
問い合わせ窓口の人員削
LINEアカウントでは、返信を自動化できるため、問い合わせ窓口の人員や作業量を削減できます。
友だち登録している人たちの性別や年齢、居住地などの属性がわかるので、絞り込み配信も可能。
情報をピンポイントに、届けたい対象に向けて発信することができ、業務の効率化も向上できます。
▼参考
LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー「LINE Business Guide」
https://www.linebiz.com/sites/default/files/media/jp/download/LINE%20Business%20Guide_202101-06_summary_v1.pdf
LINE公式アカウント活用のデメリット
メリットが多いLINE公式アカウントですが、万能ではありません。
デメリットもしっかりチェックしておきましょう。
登録してもらわないと情報が送れない
LINE公式アカウントのシステムでは、ターゲットとなるユーザーに友だち追加してもらわなければ配信ができません。
情報を受け取る側のユーザーがいなければ、情報を届けるツールとして成立しないことが大きなデメリットと言えます。
LINE公式アカウントを効果的に利用するためには、まず友だち登録数を増やすことが重要になってきます。
簡単にブロックされやすい
LINE公式アカウントは、友だち登録が簡単にできるのと同じように、ブロックされやすいのも特徴です。
ブロックされてしまうと情報が届かなくなってしまい、重要な情報やリアルタイムで届けたい情報も住民に伝えることができません。
情報の内容や配信頻度がブロック率に影響するため、配信するコンテンツにはターゲットの離脱を防ぐ工夫が必要です。
LINEをあまり使わない世代には不向き
LINEは全世代が広く利用するSNSとして知られていますが、若い世代に比べて高齢世代の利用率は若干低めです。
総務省の調査によると、LINEの利用率は、20代で98.1%、30代で96.0%と高い比率を占めるのに対し、60代では82.6%となっており、年齢が高いほどLINEの利用率が低下する傾向にあります。
60代以上のLINEやスマートフォンをあまり使わない世代には、LINE公式アカウントでの情報配信は不向きだと考えられるため、その他の情報配信手段を併用するなどの対策が必要になってきます。
▼参考
総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000831289.pdf
自治体のLINE公式の主な活用事例
では、実際に各自治体ではどのようにLINE公式アカウントを活用しているのでしょうか。
具体的な事例を3つピックアップしました。
福岡県福岡市 粗大ごみの受付にLINEログインを活用
福岡県福岡市では、自治体の公式アカウントで粗大ごみの収集の申込みを受け付けています。
それまでも、メッセージを送るだけで簡単にごみの分別方法を調べられるようLINEを使った仕組みを充実させてきましたが、分別方法で「粗大ごみ」と回答があった場合には、改めて粗大ごみ収集の申し込みが必要でした。
「そのままLINEで申し込めたらいいのに」という声に応え、粗大ごみ収集の申し込みをスタートしました。
申込み方法は簡単。「福岡市粗大ごみ受付」の公式アカウントを友達追加後、「粗大ごみの申し込み」ボタンをタップ、「リストを表示」ボタンをタップして、収集を申し込みたい粗大ごみと個数を指定してするだけです。
収集希望日や搬出場所もLINEのトーク画面で選択するだけなので、便利。受付完了のメッセージが届けば、手続き完了です。
粗大ごみ処理手数料をLINE Payで支払える機能もあり、支払いまで利用した対象へのLINE株式会社によるアンケートでは、約96%が「便利だった」と回答しています。
申し込みから手数料の支払いまでLINE上で完結できる仕組みが、利用者の利便性向上に大きくつながっているようです。
▼参考
福岡市役所 環境局
https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/kateigomi/hp/LINE-sodaigomi.html
LINE Fukuoka株式会社
https://linefukuoka.co.jp/ja/pr/news/2020/012810
岐阜県美濃加茂市 あい愛バス
岐阜県美濃加茂市では、高齢社会が進む中、買い物や通院などの生活の足として利用してもらおうと、コミュニティバス「あい愛バス」を運行しています。 子どもから高齢者までが「ここちよく定住できるまち」を目指し、誰にでも身近で気軽に利用できる移動手段として、乗車料金は一般が100円、中学生以下や障がいのある方は無料に設定されています。
さらに利用者の利便性を高めるために「あい愛バス」では、LINEを使ってバスの現在位置を確認できるシステム「MOQUL(モークル)」を導入しています。 「MOQUL(モークル)」は、15秒ごとに更新されるバスの現在位置をリアルタイムで確認することが可能。各路線ごとのアカウントを友だち登録後、トーク画面で「今どこ?」ボタンを押すだけと高齢の方にも使いやすい簡単操作です。
「バスがいつ来るのか?」「もうバスは行ってしまったのではないか?」といった不安を解消することにつながり、より地域に密着した利用しやすいバスの運行に重要な役割を果たしています。
「MOQUL(モークル)」について詳しくはこちら
https://moqul.net/
▼参考
岐阜県美濃加茂市 コミュニティバスあい愛バス
https://aiai-bus.com/
宮崎県都城市 ふるさと納税LINEサービス
宮崎県都城市では、ふるさと納税の寄附者への利便性をより高めるため、寄附情報や配送情報等の問い合わせに対応するLINEサービスを開始しました。
24時間、365日、チャットボット(対話形式の自動応答サービス)による問い合わせ対応が可能で、寄附者の寄附情報照会、寄附者の寄附履歴一覧確認、寄附者の配達状況一覧確認などが簡単にできます。
少し面倒な手続きは必要なふるさと納税ですが、気軽にふるさと納税を始められるきっかけとなり、納税額の向上にもつながると期待されています。
▼参考
都城市公式ホームページ
https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/20634.html
LINE株式会社
https://www.linebiz.com/jp/news/20220922/
まとめ
・LINE社が「地方公共団体プラン」を発表した影響もあり、自治体での公式アカウントの活用が増加
・LINE公式アカウント利用には、すばやく情報を届けられるなど多くのメリットがある
・メリットだけではなく、高齢者には不向きなどのデメリットも知った上で活用を
・粗大ごみ収集、コミュニティバス、ふるさと納税などLINEを利用した多様なサービスも