保育園のフランチャイズ経営とは?メリット・デメリットを解説
幼稚園、保育園運営
2022/12/23
保育業界では2000年に保育所設置の主体制限が撤廃されたことにより株式会社の参入が可能になりました。
それ以降、株式会社が設置・運営する認可保育園の数は増えており、令和2年には株式会社運営の保育園は全国で2850施設となっています。
その中にはフランチャイズ形式によって複数の保育園を運営している株式会社もあります。
保育園を開業する際にフランチャイズを選択した場合のメリットとデメリットは何なのか解説します。
フランチャイズとは何か?
コンビニエンスストアなどのさまざまな分野で行われていますフランチャイズ事業の概要を解説します。
フランチャイズの仕組み
フランチャイズとは、フランチャイズ本部が加盟者に対して商標を使用する権利や経営ノウハウを与え、その対価として加盟者が本部に対して金銭を支払うビジネス形態です。
本部のことをフランチャイザー、加盟者のことをフランチャイジーと呼び、両者はフランチャイズ契約においてそれぞれ独立した事業者です。
加盟者が本部に支払う金銭はロイヤリティと呼びます。
開業後に本部に対して継続的に支払うもので、定額で支払う場合と売り上げに対して一定の割合で支払う場合があります。
フランチャイズに関連する法律
フランチャイズを直接規制する法律はありませんが、公正取引委員会は独占禁止法に基づいた「フランチャイズ・ガイドライン」を公表しています。
フランチャイズ契約では本部も加盟者も対等なビジネスパートナーであり、本部が優越的な地位であることを利用して不公正な取引をすることは独占禁止法違反に当たるとしています。
フランチャイズ・ガイドラインは全業種が対象です。
参考:公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html
保育園のフランチャイズ経営のメリット
フランチャイズを選択することで以下の点で個人よりも開業が容易になることが最大のメリットです。
スムーズに開業できる
保育園を開業するにあたっては開設エリアの検討や物件契約、認可申請、補助金申請といったさまざまな手続きが必要です。
保育施設の準備と並行してこれらの手続きを一人で行うには時間と労力がかかりますが、フランチャイズであれば本部のサポートを得られます。
行政が関わる煩雑な手続きは本部に任せ、保育施設の準備に集中して取り組むことが可能です。
保育園は一般の事業と比較して少ない資本で開業が可能です。
園児は数年に渡って在園することから収入も安定しやすく、各種補助金制度を利用することかができれば利益率が高く、短期間で投下資本を回収できます。
2015年の「子ども・子育て支援法」により認可保育所の一種として認められた小規模保育所であれば必要な資金はさらに少なくて済むので開業のハードルは低くなっています。
幅広いサポートを受けられる
上記のような開業時のサポートだけではなく、開業後も本部のサポートを受けられます。
安定した保育園運営に必要な資金調達や保育士の採用育成に関する相談や、本部が開催する研修への参加など本部によるサポートは多岐に渡ります。
エリアを統括するスーパーバイザーが定期的に保育園を訪問し、運営改善のための助言を与えるところもあります。
保育園運営のノウハウを学べる
フランチャイズ本部にはこれまで保育園を運営してきた実績に基づいたノウハウがあります。
ノウハウはオーナー向けのマニュアルにまとめられ、オーナー研修などで提供されます。
これまで違う業界で働いていた未経験者でもフランチャイズを活用すれば保育園運営の知識を身に着けて保育園の運営が可能になります。
ブランド力・知名度を活用できる
フランチャイズによって複数の系列園が運営されていると、保育園の名前はブランドとして確立されて知名度が上がります。
このブランド力を園児の募集や保育士の確保に活用できます。
無名の保育園よりも名前が知れ渡っている保育園の方が安心感を与えるからです。
また、本部で広報ツールを用意しており、一から広告を作る必要はありません。
園独自の広告費を抑えながら効率よく園児や保育人材を確保できます。
保育園のフランチャイズ経営のデメリット
フランチャイズによって開業が容易になる一方、フランチャイズゆえのデメリットがあることも忘れてはなりません。
オリジナリティを打ち出せない
個人で開業する場合、保育園の方針や環境設定などは自身が考えたコンセプトに基づいて運営し、反映させていくことができます。
一方、フランチャイズに加盟している場合は、ブランドイメージを壊さないよう本部で決められたものに従わなければなりません。
何か独自性を出したい場合には本部の了承が必要です。
このため、自ら目指す保育観・保育方針が本部の打ち出しているものと方向性が違うようであれば、フランチャイズではなく独自で開業することを検討した方がよいでしょう。
ロイヤリティの支払いが負担になることも
開業してから運営が軌道に乗るまでは本部のサポートといったフランチャイズの恩恵が大きいですが、運営が安定してくるとフランチャイズに加盟しているメリットが少なくなってきます。
そうなると月の売り上げによってはロイヤリティの支払いが負担に感じてしまう可能性が出てくるでしょう。
保育園のフランチャイズ経営の注意点
フランチャイズ契約を結ぶ前には以下の項目を必ずチェックしておきましょう。
契約内容
先に述べたように、フランチャイズ本部と加盟者は対等なビジネスパートナーとして契約を結びます。
契約を交わす際には事前に契約書や関連書類をすべてに目を通し、不明な点は本部に確認します。
契約書に制約条件が記載されている場合は、受け入れられる内容かどうか十分検討します。
フランチャイズ契約の際の留意点については、中小企業庁がまとめた「フランチャイズ事業を始めるにあたって」が参考になります。
参考:中小企業庁「フランチャイズ事業を始めるにあたって」
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/21fyFranchiseStart.pdf
立地選定
立地の選定は本部がサポートしますが、本部からの説明を受けるだけでなく実際に自分でも候補地を訪れて確認しましょう。
立地条件として重要な点は、園児や保護者が通いやすい場所であるか、保育園に適切な近隣環境かどうかです。
交通量が多く交通事故が起こりやすい場所や、地域住民の理解を得られにくい場所は適切ではありません。
送迎で利用する駐輪場や玄関周辺の夜間照明やミラーなど安全対策として必要なものがあれば設置を検討しましょう。
運営資金
本部との契約の前には初期費用の3割程度を最低でも準備しておくことが必要ともいわれています。
加盟条件の中に自己資金の保有割合を加盟条件としているフランチャイズ本部もあります。
必要なコストを見積もって数か月分の運営ができるような資金計画を立てるようにしましょう。
認可保育園であれば各種補助金制度を利用できます。
その中でもICT補助金は認可外保育園も対象となりますので積極的に活用しましょう。
ICTシステム「うぇぶさくら」で保育園運営を効率化
ICTシステムの導入によって事務作業が効率化されると保育者の業務負担軽減につながります。
複数の企業からICTシステムが提供されていますので、運営する保育園に合ったシステムの導入を検討するとよいでしょう。
総合保育管理システム「うぇぶさくら」は現場の保育士の声から生まれたシステムです。
うぇぶさくらは業務負担の軽減により園児に向き合う時間を確保して質の高い保育サービスを提供できるようにとの保育士の希望から開発されました。
園児の情報管理や計画書類の作成、午睡チェックといった保育に関する業務だけでなく、請求管理や職員の勤怠管理といった園全体の管理業務をWeb上で一元管理できます。
サポート体制が充実しているので、パソコンが苦手な保育士でも安心して利用できるでしょう。
▼総合保育管理システム うぇぶさくら
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https://moqul.net/contact
まとめ
保育園のフランチャイズ経営では、スムーズに開業できる、幅広いサポートを受けられる、経営のノウハウを学べる、ブランド力・知名度を活用できるというメリットがある一方、オリジナリティを打ち出せない、ロイヤリティが負担になる可能性があるというデメリットがあります。
フランチャイズ契約を結ぶ前には契約内容を必ず確認し、必要な運営資金を準備しておきましょう。
認可保育園・認可外保育園とも対象となっているICT補助金を活用するのであれば「うぇぶさくら」の導入がおすすめです。