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知らない町のスクールバス公募に、電話一本から挑んでみた話

モークルストーリー

2026/10/06 (更新日:2026/10/07)

知らない町のスクールバス公募に、電話一本から挑んでみた話

ある日、ネットで和歌山県橋本市の「スクールバス乗降システム構築業務」の公募型プロポーザルを見つけました。内容を見ると、生徒にQRコードを印刷した乗車カードを配り、バスの乗り降りの際にそのQRコードをかざして読み取ることで、保護者に通知が届くという仕組み。富山市で採用していただいた内容と、ほぼ同じです。

台数は2台、契約期間は2年。橋本市は私たちの拠点である岐阜県からは車で4時間以上かかる距離ですが、規模や内容を見る限り、対応できないことはなさそうでした。

少し気になったのは、保護者への配信手段として仕様書に「メール」と書かれていたことです。モークルは標準でLINEを使っていますが、エンジニアと相談し、メール配信にも対応できることを確認したうえで、LINEの活用も提案していく方針にしました。

とはいえ、橋本市教育委員会さんとは面識も縁もありません。お隣の紀の川市にはモークルを導入いただいた実績がありますが、橋本市は完全に初めての土地です。通常はホームページ経由でお問い合わせをいただくことが多いのですが、今回はこちらから動くしかない状況です。そこで橋本市に電話をかけ、「ホームページを拝見しまして、スクールバス乗降システム構築業務の公募型プロポーザルが実施されるとのことですが、私どもも参加してよいでしょうか」と、率直に聞いてみました。

返ってきたのは「大丈夫ですよ」という、あっさりとした一言。そこから、公開されている実施要領などの資料を読み込み始めました。

実施要領を読むと、非常に細かく書き込まれていて、想定予算の記載もありました。実績のある業者からの提案を前提に作られていることは想像がつきましたが、チャンスが少しでもあるなら挑んでみようと、参加を検討することにしました。

まずは質疑書を提出し、その回答内容を見て、実際に参加するかどうかを判断する段取りです。後日公表された質疑回答書を見ると、書かれている質問はすべて私が提出したものでした。どうやら、他の業者さんからは質問が出ていなかったようです。

配信手段についての回答は、「LINEを特に排除するものではない」(しかし、乗り気でもない)というニュアンスのものでした。これなら土俵に立てると判断し、参加意向届を提出。受理されたことを確認してから、企画提案書と見積書の作成に取りかかりました。

正直なところ、「プロポーザルに参加するだけなのに、ここまで書類を揃える必要があるのか」と思う場面もありました。それでも文句を言っても仕方がないので、黙々と準備を進めました。提出方法は「フラットファイル10部にして送ること」という指定だったので、そのとおりに用意し、宅急便で発送しました。
(いま考えると、この書類を持参できる業者であることも、評価の要素だったかもしれません)

書類審査の結果、一次審査を通過し、次はプレゼンテーションへ。二次審査は9月18日(金)の午後から行うという連絡が届きました。

ここまで、橋本市の担当者さんとは電話で数回話した程度。参考にできたものも実施要領に書かれている内容だけです。当日、根拠のあるプレゼンができるのか不安はありましたが、富山市での実績と、これまで多くの自治体の方からいただいたご相談をもとに、資料を用意しました。

プレゼンの方向性は、あえて「こんなこともできます、あんなこともできます」という機能アピールは控えめにしました。実施要領に書かれている要件は、どの業者もクリアできるはずです。だとすれば差がつくのはそこではありません。富山市で実際に運用してみて、うまくいったこと、うまくいかなかったことを中心に話すことにしました。

事前に、参加業者は3者であること、審査は教育委員会のほかに総務課・総合政策課の方も加わって行われることを確認していました。

当日は、機器製作をお願いしている岩電商会の岩田社長に同行してもらいました。2人とも橋本市は初めての訪問で、市内に高野山があることをこの時初めて知りました。市役所近くの、昭和レトロな雰囲気の喫茶店でランチを済ませました。ホールはお客さんでいっぱいだったのですが、お一人の店員さんで注文取りから、料理を出し、レジまでこなしているのに感心しました。

今回の審査では「和歌山県内に事業所があること」が重視されると、事前の情報から感じ取っていました。私たちに県内の拠点はなく、これは大きなハンデですが、今さらどうにもならないので、代わりに、隣接する紀の川市との契約実績があること、そして紀の川市内の自動車整備業者さんと連携したサポート体制について説明しました。

また、富山市での運用の中で実際にあったトラブルも、包み隠さず話しました。スマートフォンのバッテリーがすぐになくなってしまったこと。生徒や保護者へのQRコードリーダーの使い方の説明が不十分で、不透明なカードケースを用意したり、カードをリーダーに強く押し当てたりといった、初期のつまずきがあったことです。

与えられた時間は30分。前半はスライドでの説明、後半は審査員からの質疑応答でした。プレゼンは得意な方ではありませんが、前日に何度も練習とチェックを重ねた甲斐あって、審査員の方からは「上手くいかなかったことも、話していただきとても良かったですよ」と高評価もいただきました。

それから3週間ほどが経ち、審査結果 橋本市役所公式サイトが届きました。優先交渉権者はNTT西日本株式会社 和歌山支店。私たちは、次点という結果でした。

評価の内訳を見ると、業務提案の内容はほぼ互角、提案金額では上回る評価をいただいていました。一方で、サポート体制・業務体制については厳しい評価となりました。和歌山県内に拠点がないという弱点が、やはりそのまま結果に表れた形です。

悔しくないわけではなかったのですが、それでも、急な参加表明から始まったにもかかわらず、NTT西日本さんのような大企業と肩を並べ、互角に近い評価をいただけたことには、大きな充実感があります。

最後になりますが、橋本市教育委員会の皆さまには、突然、面識のない業者から参加のご連絡を差し上げ、ご負担をおかけしましたことをお詫び申し上げます。そのうえで、システムが現場で順調に稼働することを、心から願っています。
また、岩電商会 岩田さんには、お忙しい中、プレゼンテーションに同行いただいたこと感謝いたします。

次に橋本市を訪れる理由は、今のところありません。それが残念ではありますが、あの日見つけた高野山には、行ってみたいと思っています。

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