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幼稚園の送迎バスではシートベルトをしなくていい?園児を事故から守るには

幼稚園、保育園運営

2022/06/03

万が一の事故の際、体が投げ出されることを防ぎ、大きな被害を防ぐシートベルト。
運転席はもちろん助手席・後部座席を含む全座席でのシートベルト着用義務が道路交通法で定められています。

しかし、幼稚園や保育園の送迎バスなどの幼児専用車では、シートベルトの着用は例外的に義務づけられていません。

ただ、実際には車内での衝突などによるケガも多く報告されており、国土交通省から安全対策ガイドラインが発表され、独自の安全装置を導入する幼児専用車も増加しています。

この記事では、幼児専用車でシートベルトの着用が不要とされている理由や、安全対策ガイドラインの内容を詳しく解説。
より安全運転が求められる幼稚園バスや保育園バスの事故防止に効果的な、ドライブレコーダー搭載の位置情報システムもご紹介します。

シートベルトの必要性

シートベルトは車に乗る際の安全確保のための手段として、法律で着用が義務付けられています。

2008年の道路交通法改正により、運転席だけでなく、助手席や後部座席もシートベルトの着用が義務付けられ、高速道路での未着用は運転者に違反点数が付けられることが定められました。

国土交通省の資料によると、事故発生時にシートベルトを着用していなかった場合の致死率は、着用していた場合の14倍にのぼるというデータがあります。

シートベルトの非着用で致死率が最も高い座席は運転手席で、その次に高いのが助手席です。
車外放出による致死率が最も高い座席は後部座席で、バスの場合でも転倒を伴う交通事故では、客席の方が大きな被害を受ける傾向にあります。

病気などやむを得ない理由がある場合を除き、全ての座席でシートベルトを着用することが、安全対策のために非常に重要です。

▼参考 国土交通省「平成26年交通事故統計」
https://www.mlit.go.jp/common/001118302.pdf

幼児専用車にはシートベルトが義務づけられていない

安全確保のための着用が義務づけられているシートベルトですが、一部例外もあります。

幼稚園や保育園への送迎バスなどの幼児専用車は、現在シートベルトやチャイルドシートの装備が義務付けられていません。

その理由は以下の3つです。

  • 幼児が自分でシートベルトの着脱をすることが難しく、緊急時の脱出が困難
  • それぞれの年齢により体格の違いがあるため、一定の座席ベルトの設定が難しい
  • 幼稚園教諭など、同乗者の着脱補助作業が発生する

国土交通省の調査によると、平成20年のデータでは、幼児専用車と通常のバス・マイクロバスを比較した事故発生率は、幼児専用車が1.1%。
バス・マイクロバス全体では 2.5%となっており、幼児専用車の事故発生率はバス・マイクロバス全体の1/2程度となっています。

保有台数1,000台あたりの乗車人員の死傷者数は、幼児専用車が 3.6 人、バス・マイクロバス全体では36.2 人で、バス・マイクロバス全体と比較した幼児専用車の死傷者発生率は1/10程度というデータが報告されています。

つまり、幼児専用車の事故発生率はバス・マイクロバスの半分ほどで、死傷者の発生も少ないのでシートベルト着用を義務づける必要はない、という方針だと考えられます。 

幼稚園バスの安全対策ガイドライン

幼稚園・保育園の送迎バスでは、シートベルトの着用が義務づけられていませんが、やはりシートベルトで体を固定していないことが原因で、背もたれや子ども同士で頭をぶつけてケガをするケースが多いのが現状です。

それを受け、平成25年には幼稚園バスの座席に対する安全対策として、具体的なガイドラインが発表されました。

幼児専用車の幼児用座席に対する主な安全対策として推奨されたのは、下記の措置です。

  • シートバックの後面に緩衝材を追加
  • シートバックの高さの変更
  • 座席間隔の変更
  • 座席ベルトの装備

事故の際の衝撃を和らげるために緩衝材を取り付け、背もたれを高くして衝撃を緩和すること、座席間隔を広く設けることで、子ども同士が衝突することを防ぐことが主な目的です。

また、合わせて座席ベルトの装備についても推奨されており、このガイドラインの策定を機に、今後幼児用座席に適した座席ベルトが開発されることを期待する、とも書き添えられています。

▼参考 国土交通省「幼児専用車の車両安全性向上のためのガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/common/000992511.pdf

独自の安全装置を導入する幼稚園バスも増加

幼稚園バスの安全対策ガイドラインの発表から約10年が経った今、独自の安全装置を導入した幼稚園バス・保育園バスを制作する会社、導入する園も増えてきました。

北海道の幼稚園バス販売会社では、シートベルトの代わりに「4点式ベスト」を独自に開発。

肩・胸・腰を支えることで、急ブレーキなどで体が前方に放り出されることを防ぐ構造になっており、2歳から6歳の幼稚園児の体に合わせてサイズ調整も可能です。

この会社では、1歳前後からの体の小さな子ども用に、3点式ベルトやISO-FIX方式で、市販のチャイルドシートが装着できる幼稚園バスの製造もおこなっています。

また、幼稚園バスの安全性を高めるために、通常のシートベルトとは異なる、独自のベルトを装備するケースも。
東京・目黒区の幼児専用車には、保護者からの要望を受け、長さ30cm・幅4cmの面ファスナー式簡易ベルトが備えられています。

2人掛けの座席に1つあり、2人で一緒に使うタイプ。衝突時の安全確保というよりは、子どもが立ち上がる危険を防止し、走行時にきちんと座ろうという意識付けをすることが目的です。

自家用車ではシートベルトを着用するのに、幼稚園バスではしなくていい、という例外を作ることなく教育的な効果も大きい、という保育関係者も多いといいます。

近い将来、幼児用のシートベルトが本格的に開発されれば、幼稚園バス・保育園バスでもシートベルトの着用が義務づけられることになるかもしれません。

危険運転を減らし事故を防ぐ、位置情報通知システム「モークル」

シートベルトの着用が義務づけられていない、幼稚園・保育園の送迎バスの運行には、事故発生時に深刻な被害が出る可能性もあるため、より確実な安全運転への対策が必要になります。

事故を防止するために効果的なシステムの一つが、位置情報通知システム「モークル」です。

LINEシステムでいつでも送迎バスがどこにいるかを確認できる便利な機能に加え、ドライブレコーダーを搭載しているので、危険運転の警告やドライバーの運転診断もでき、事故防止対策として非常に有効です。

パイオニア製ドライブレコーダーを採用し、急ブレーキや急ハンドルなど危険運転があった時には、ドラレコが音声と画面の表示でドライバーに警告。ドライバーが緊張感を持って運転することができます。

また、送迎バス運転中の急ブレーキ、急ハンドル、速度超過などの危険運転の回数を記録。事故につながる危険運転を点数化して分析できるので、ドライバーへの安全運転指導に役立ちます。

万が一事故が発生した際には、最新のテレマティクスを使って、鮮明な20秒間の映像を自動送信します。事務所などに居ながらにして、現場の情報を確実に把握できるので、迅速な対応が可能です。

幼稚園や保育園の送迎バスの安全運行を可能にし、利用者の満足度もアップさせられる位置情報通知システム「モークル」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

  • 安全確保のために、乗車の際にはシートベルト着用の義務が道路交通法で定められている
  • 幼児専用車は、幼児のシートベルト着脱が難しいことなどから、着用が義務づけられてない
  • 幼稚園バスの安全対策ガイドラインでは、緩衝材の追加などが推奨されている
  • 簡易ベルトなど、独自の安全装置を導入する幼稚園バスも増加
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