主任保育士の役割や仕事内容とは?キャリアアップに必要な条件や給与も紹介
幼稚園、保育園運営
2022/06/24
保育士としてキャリアを積んでいく中で身近な目標となるのが主任保育士です。
本記事では主任保育士の仕事や待遇、主任保育士になるにはどのようなキャリアパスがあるのか解説します。
主任保育士とは?
主任保育士は園長の下で保育現場を取りまとめる責任者で、保育士のリーダーとしての役割を果たしています。
主任保育士の人数は保育園によって異なります。
各自治体が定める保育所の設置認可に関する条例では主任保育士の配置や要件は記載されておらず、配置は各施設の判断によるからです。
全国保育協議会が実施した会員の実態調査によると、認可保育所における主任保育士の配置人数は平均1.4人となっています。
8割弱の保育園で1人を配置している一方、2人以上の主任保育士がいる保育園もあります。
複数の場合は乳児クラス担当、幼児クラス担当と分けるところもあるようです。
参考:社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会「全国保育協議会会員の実態調査報告書2016」
https://www.zenhokyo.gr.jp/cyousa/h29_06/201706.pdf
主任保育士はクラス担任を受け持たない場合が多いです。
公定価格に定める「主任保育士専任加算」の要件を満たすと補助金の支給対象となるからです。
専任加算の要件をまとめると以下のようになります。
- 主任保育士を指導計画の立案や地域の子育て支援活動等に専任できるようにする
- 配置基準で必要とされる保育士数に加えて代替要員を1人加配する
- 次の事業等を複数実施している
延長保育事業、一時預かり事業、病児・病後児保育事業、乳児が3人以上入所している施設、障害児が入所している施設
このように主任保育士は事務作業や子育て支援など、子どもに接する保育以外の業務でマネジメント能力を発揮することが求められています。
主任保育士の役割と仕事内容
主任保育士は園長の補佐をしながら保育のリーダーとして園全体の運営を支えています。
仕事内容は多岐に渡りますが、大きく分けると次の5つになります。
保育園運営の企画・調整
・園長の補佐
園長が不在の際には代理として状況判断や対応をすることがあります。
・保育士のシフト調整
配置基準を満たせるようシフトを調整します。
保育士が不足する時間帯は主任保育士自らがクラスに入り、保育をサポートします。
・指導計画などの書類の作成
計画類の作成だけでなく、行政に提出する書類も作成します。
・業者対応
保育用品の購入や園舎の修繕など、園の運営に関係する業者との対応窓口となることがあります。
組織における人材育成
・保育士の育成・指導
保育士個人への助言や指導の他、クラス会議に参加して助言を与えたり担任が作成した書類の内容を確認することがあります。
・新人保育士への研修・指導
主に新卒で入職した保育士に対して新入職員研修を実施し、保育の現場で指導を行います。
・保育実習生の受入れ対応
学校との連絡調整や実習当日の受入れを行います。
働き続けられる職場環境づくり
・保育士と管理職・経営陣とのコミュニケーションの推進
園長よりも話しかけやすい存在であるため、保育士が園長に相談しにくい内容も主任保育士が相談を受けることがあります。
・職員の採用
保育士だけでなく、栄養士や看護師、事務員など職員の選考に関わります。
・事務作業の効率化
保育士の業務負荷を軽減するために業務の見直しをしたりICTシステムの導入を検討します。
保護者支援
・相談対応
園生活のことだけでなく、育児全般について保護者からの相談に応じます。
苦情に対処することもあります。
・家庭状況の把握
保護者に寄り添い一緒に子育てをしていくためには各家庭の状況を把握しておくことが欠かせません。
・園見学希望者への対応
園の中を案内しながら保育や施設の特徴、一日の流れ等について説明します。
地域の子育て支援
地域の子育て世代が孤立しないよう、保育所を利用していない子育て世帯に対してもイベント(子育て講座・親子保育体験など)を企画・実施します。
主任保育士にキャリアアップするための条件は?
主任保育士を目指すためにはまずは保育士としての経験を積み、研修を受けてキャリアを構築していくことが不可欠です。
保育士としての経験やスキル
主任保育士になるための特別な資格や要件は、明確には定められたものはありません。
各施設が独自の基準で主任保育士を任命しています。
複数の保育士を取りまとめて指導にあたる必要があることから、豊富な知識と経験、職員や保護者からの信頼は重視されているといえます。
主任保育士を目指すには積極的に研修に参加して自身のスキルを向上させていく必要があるでしょう。
キャリアアップ研修
2017年に保育士のキャリアアップ研修のガイドラインが制定されました。
以前は保育園での役職といえば園長と主任保育士に限られていましたが、新しい役職と専門性の向上を図るための研修の機会が設けられ、保育士のキャリアパスが明確になりました。
保育士の職制階層は下から順に以下のようになっています。
②職務分野別リーダー(新設)
③副主任保育士(新設)または専門リーダー(新設)
④主任保育士
⑤園長
職務分野別リーダーは約3年以上の経験を持ち、6分野の研修のいずれかを修了した保育士に発令されます。
概ね7年以上の経験があり職務分野別リーダーを経験した保育士は、計4分野以上の専門研修を修了して専門リーダーの発令を受けると専門リーダーに、計3分野以上の専門研修とマネジメント研修を修了して副主任保育士の発令を受けると副主任保育士になります。
6分野の研修とは保育現場において専門的な対応が求められている以下の内容です。
②幼児教育
③障害児保育
④食育・アレルギー
⑤保健衛生・安全対策
⑥保護者支援・子育て支援
参考:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000155997.pdf
主任保育士の給与・待遇
2019年度「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、私立保育園の常勤の主任保育士と一般保育士の給与月額(賞与込み)と平均勤続年数(過去に勤務していた保育所等における勤続年数も含む)は以下のとおりです。
主任保育士 給与月額42万2,966円 平均勤続年数 21.7年
一般保育士 給与月額30万1,823円 平均勤続年数11.2年
主任保育士になると一般保育士に比べて平均12万円程度給与月額が多くなります。
主任保育士には役職に支払われる手当として主任手当が支給されています。
手当の額は各施設の設定や保育士の経験年数、地域によって異なりますが、毎月3万円から5万円程度が一般的といわれています。
参考:内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/kekka.pdf
主任保育士の業務は保育ICTシステム「うぇぶさくら」で効率化できる
主任保育士を目指したいと思ったものの、多岐に渡る業務や新たにマネジメント業務が加わることから業務負荷を心配する保育士もいることでしょう。
しかしながら、ICTシステムを活用すれば容易に書類を作成したり、管理業務を行ったりできます。
そこでおすすめなのが保育士たちの希望から生まれた総合保育管理システムの「うぇぶさくら」です。
園児台帳や登降園管理といった園児に関する機能から職員の勤怠やシフト管理機能、計画類の作成機能など、複雑な管理業務がweb上で一元化されています。
このため機能ごとに複数のシステムを立ち上げる手間もなく、必要な情報をすぐに参照でき、作業の効率化を図れます。
また、効率化によって作業負荷が軽減できれば主任保育士の仕事内容の一つでもある働きやすい職場環境づくりも実現可能となるでしょう。
▼総合保育管理システム うぇぶさくら
https://web-sakura.jp/
https://moqul.net/contact
まとめ
主任保育士は園の運営を支える保育のリーダーです。
これまでは主任保育士になるのに明確な要件はありませんでしたが、2019年度にキャリアアップ研修が構築されたことによりキャリアパスが具体的になりました。
主任保育士はマネジメントも加わって業務が多岐に渡るため業務負荷が増えますが、「うぇぶさくら」を活用することで業務の効率化を図れるでしょう。