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貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点【部活動の遠征・送迎シリーズ第3回】

スクールバス

2026/09/07 (更新日:2026/09/04)

【連載シリーズ 第3回/全7回】部活動の遠征・送迎を見直す
第1回はこちら:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
第2回はこちら:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか

前回は、遠征の移動手段が属人的な手配になりやすい実態と、そこに潜むリスクを整理しました。今回は、実際に選択される移動手段ごとに、どのような法令上の注意点があるのかを具体的に見ていきます。

貸切バスを利用する場合

貸切バス会社に運行を依頼する場合、まず確認すべきは、国から一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた事業者かどうかという点です。許可を受けた事業者の車両には、いわゆる「緑ナンバー」が付与されています。

正規の許可を持たない事業者や個人が、有償で旅客を運送する、いわゆる「白バス」営業は違法です。運転者には第二種免許の保有も求められます(第一種免許・第二種免許の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています)。

依頼する側の学校としても、口頭の依頼で済ませず、正式な運送契約を書面で締結し、事業者選定の経緯を記録として残しておくことが、今回の対策でも求められています。

自家用車・レンタカーを利用する場合

教員が自身の車や学校所有車、レンタカーを使って生徒を引率する場合は、貸切バスとは異なる注意点があります。無償の引率であれば第二種免許は不要ですが、今回の対策では、自家用車・レンタカーの利用にあたって、新たに「安全管理チェックシート」を活用することが盛り込まれました。

このチェックシートは、事前確認用・当日確認用の2種類が用意されており、次のような項目を確認する仕組みになっています。

  • 車両の種類
  • 運転者の資格(免許の種類・有効期限など)
  • 保険の加入状況
  • 車両の点検状況
  • 運転者の配置(複数人での分担なども含む)

また、引率計画や運転者の資格等について、事前に校長等の管理職が承認する運用も求められています。レンタカーを利用する場合は、契約名義(学校名義か、教職員個人の名義か)についても、今回の対策の中で見直しが求められている点の一つです。

教員が運転する場合の注意点

教員自身が運転する場合、まず確認すべきは、使用する車両の区分に応じた免許を保有しているかどうかです。人数の多い部活動でマイクロバスなどを使用する場合、中型免許・大型免許が必要になるケースもあります(車両規模ごとの免許区分はこちらの記事の早見表もあわせてご参照ください)。

また、今回の対策では、自動車での移動時に教職員等が同乗することが望ましいとされています。運転に専念する教員とは別に、生徒の様子を見守る教職員を配置することが、安全確保の観点から推奨されています。

顧問がドライバーを兼ねる場合のドライブレコーダーの重要性

実際の現場では、部活動の顧問が運転も兼ねているケースが少なくありません。指導と運転を一人で担うことは、それだけ負担が大きく、事故防止の観点からも対策が必要な状況だといえます。

こうした場合に備えて、ドライブレコーダーの搭載は必須と考えておくべきです。万が一の事故の際に状況を正確に記録できるだけでなく、急ブレーキ・急ハンドルなどの運転傾向を客観的に把握できるため、日頃からの安全運転の啓発にもつながります。

特に、通信機能を備え、運行状況を学校・教育委員会側でリアルタイムに把握・管理できるタイプのドライブレコーダーであれば、顧問一人に安全管理を委ねるのではなく、学校として運転状況を見守る体制を作ることができます。事故発生時には、映像を自動送信できる機種を選ぶことで、迅速な状況把握・対応にもつながります。

学校保有のスクールバスを活用する場合

通学用のスクールバスを遠征にも活用する場合、運転者・車両ともに日常の運行管理の中ですでに確認済みであることが多く、運行主体も明確です。前回ご紹介した属人的な手配のリスクの多くは、この方法であれば当てはまりません。

ただし、通学ルートとは異なる遠征ルートを走行することになるため、事前の試走や、保護者への出発・到着予定時刻の周知など、通常の通学とは別の準備が必要になる点には注意が必要です。

移動手段ごとの確認ポイント

移動手段主な確認ポイント
貸切バス事業許可(緑ナンバー)の確認、書面での運送契約、第二種免許の保有
自家用車・レンタカー安全管理チェックシートによる事前・当日確認、保険加入状況、契約名義、管理職の事前承認
教員運転車両規模に応じた免許の保有、教職員の同乗
学校保有のスクールバス遠征ルートの事前試走、保護者への到着予定時刻の周知

次回は、部活動の「地域移行」という国の政策により、学校外への移動ニーズがどのように変化しているのかを見ていきます。

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よくある質問

Q. 「安全管理チェックシート」とは何ですか?

自家用車・レンタカーを部活動の引率等に利用する際、車両の種類、運転者の資格、保険の加入状況、点検状況、運転者の配置などを確認するために、文部科学省・国土交通省が新たに作成したチェックシートです。事前確認用と当日確認用の2種類があります。

Q. 貸切バス会社を選ぶ際、最低限確認すべきことは何ですか?

国から一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた事業者(緑ナンバーの車両)であることの確認と、口頭ではなく書面での運送契約の締結が基本です。

Q. 教員が自分の車で生徒を送迎することに、法律上の問題はありますか?

無償の引率であれば、第二種免許は不要です。ただし、車両区分に応じた免許(中型・大型免許が必要な場合もあります)の保有確認や、安全管理チェックシートの活用、管理職による事前承認など、学校としての確認プロセスを経ることが求められています。

Q. 顧問がドライバーを兼ねる場合、特に注意すべきことは何ですか?

指導と運転を一人で担う負担が大きいため、事故防止の観点からドライブレコーダーの搭載を必須と考えておくべきです。通信機能があり、運行状況を学校側でリアルタイムに把握できるタイプであれば、顧問一人に安全管理を委ねず、学校として見守る体制を作ることができます。

Q. 学校のスクールバスを遠征に使う場合、通学時と同じ感覚で運用してよいですか?

運行主体・運転者が明確という点では属人的な手配より安心ですが、通学ルートとは異なる遠征ルートを走行するため、事前の試走や保護者への到着予定時刻の周知など、別途の準備が必要です。

まとめ

  • 貸切バスを利用する場合は、事業許可(緑ナンバー)と書面での契約、第二種免許の確認が基本
  • 自家用車・レンタカーを利用する場合は、新設された「安全管理チェックシート」による事前・当日確認が求められている
  • 教員が運転する場合は、車両規模に応じた免許の保有確認と、教職員の同乗が推奨されている
  • 学校保有のスクールバスを遠征に活用する場合も、遠征ルート特有の準備(試走、保護者への周知)が必要

参考資料

文部科学省「『学校教育等に関する移動の安全確保のための対策』のとりまとめについて(通知)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1417343_00061.htm


この連載の記事一覧

  • 第1回:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
  • 第2回:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか
  • 第3回:貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点(この記事)
  • 第4回:部活動の「地域移行」で増える、学校外への移動ニーズ(近日公開)
  • 第5回:遠征中の位置情報共有、保護者・学校間でどう仕組み化するか(近日公開)
  • 第6回:中学校の部活動送迎、小学校の統廃合対応とは違う課題(近日公開)
  • 第7回:部活動遠征を「安全に、仕組みで」支える体制づくり(近日公開)


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