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部活動の「地域移行」で増える、学校外への移動ニーズ【部活動の遠征・送迎シリーズ第4回】

スクールバス

2026/09/09 (更新日:2026/09/04)

【連載シリーズ 第4回/全7回】部活動の遠征・送迎を見直す
第1回はこちら:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
第2回はこちら:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか
第3回はこちら:貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点

これまでの3回では、大会やコンクールへの「遠征」という、非日常的な移動を中心に見てきました。今回は少し視点を変えて、国の政策として進んでいる部活動の「地域移行(地域展開)」が、生徒の移動ニーズをどのように変えつつあるのかを整理します。

部活動の「地域移行」とは

部活動の地域移行とは、これまで学校の教員が顧問として担ってきた部活動の運営を、地域のスポーツクラブや文化団体などへ移していく国の改革です。少子化によるチーム編成の難しさや、教員の働き方改革を背景に、公立中学校を中心に進められています。

令和5年度から7年度末までが「改革推進期間」とされ、令和8年度(2026年度)からは「改革実行期間」に入りました。休日の部活動は原則としてすべて地域展開を目指し、平日についても段階的に移行を進める方針が国から示されています。予算規模も拡大しており、2026年度予算案では部活動の地域展開に関連して約139億円が計上されています。

スポーツ庁の調査によると、休日の部活動について地域移行に取り組む自治体の割合は、2025年度末までに54%、2026年度末までには68%に達する見込みとされています。

移動手段は「保護者任せ」になりやすい

地域移行が進むことで、これまで学校内で完結していた部活動の場所が、地域のスポーツ施設やクラブハウスなど、学校の外へと広がっています。これは、遠征のような非日常的な移動とは異なり、平日・休日を問わず日常的に発生する新しい移動ニーズです。

そして、この移動手段の確保が、多くの地域で大きな課題となっています。例えば、地域移行を先行して進めている自治体の一つでは、講師への謝礼や運営体制を整備する一方で、生徒の「移動手段は保護者の責任」として運用されています。

学校の管理下にあった部活動が地域クラブに移ることで、これまで学校が担ってきた移動の安全管理という役割が、そのまま家庭に移転してしまっているケースも少なくないのが実情です。

移動手段の確保を仕組み化する動き

一方で、移動手段の確保そのものを、学校や家庭任せにせず、自治体として仕組み化しようとする事例も出てきています。

市街地と中山間地域が混在する地理的特性を持つある自治体では、指導者の確保だけでなく、移動手段の確保も課題として認識し、旅行会社と連携した実証事業を開始しました。指導者の調整や参加者管理、保護者への連絡に加えて、移動手段の確保に関する事務業務までを、外部の企業が一括して担う「リモート事務局」という仕組みです。

こうした取り組みにより、指導者は指導そのものに専念できる環境が整い、保護者からも安心できるとの声が寄せられているといいます。

学校・自治体が今、考えるべきこと

これまでの回で扱ってきた「遠征」の移動手段の見直しと、部活動の地域移行に伴う「日常的な移動ニーズ」は、別の課題のように見えて、実は根っこでつながっています。どちらも、これまで学校や教員、あるいは家庭が個別に対応してきた移動の手配・安全確保を、組織的な仕組みに置き換えていく必要があるという点です。

特に、中山間地域や交通の便が限られる地域では、地域クラブの活動場所までの移動そのものが参加のハードルになりかねません。学校が保有するスクールバスなど、既存の移動インフラを地域移行後の活動にも活用できないか、検討の余地がある自治体は少なくないと考えられます。

次回は、こうした移動手段を実際に運用する場面で欠かせない「位置情報の共有」について、遠征時の具体例を交えて詳しく見ていきます。

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よくある質問

Q. 部活動の地域移行は、いつまでに完了する予定ですか?

令和8年度(2026年度)から令和13年度までが「改革実行期間」とされ、休日の部活動は原則としてすべて地域展開を目指す方針が示されています。平日については、地域の実情に応じて段階的に移行が進められます。

Q. 地域移行後の部活動の移動手段は、誰が確保するのですか?

自治体・地域クラブによって対応は様々です。保護者の責任として運用されているケースもあれば、外部事業者と連携して移動手段の確保を含めた事務業務を一括して担う仕組みを作っている自治体もあります。

Q. 地域移行によって、学校の負担はどう変わりますか?

指導や運営の負担は教員から地域クラブ側へ移る一方で、移動手段の確保など、これまで学校が担っていなかった新しい課題が、家庭や地域側に生じるケースがあります。

Q. 地域移行と、これまでの「遠征」の課題はどう関係しますか?

どちらも、移動の手配・安全確保を個別対応から組織的な仕組みへ置き換える必要があるという点で共通しています。学校が保有するスクールバスなど、既存の移動インフラを地域移行後の活動にも活用できないか検討する自治体も出てきています。

まとめ

  • 部活動の地域移行は、令和8年度からの「改革実行期間」で、休日の部活動を原則すべて地域展開する方針が示されている
  • 地域移行により、生徒の活動場所が学校の外へ広がり、日常的な移動ニーズが新たに発生している
  • 移動手段が「保護者の責任」として運用されているケースが多い一方、外部事業者と連携して仕組み化する自治体の事例もある
  • 遠征時の移動と地域移行後の日常的な移動は、どちらも組織的な仕組みづくりが求められる点で共通している

参考資料

スポーツ庁「部活動改革ポータルサイト」
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/1372413_00003.htm


この連載の記事一覧

  • 第1回:部活動の遠征、移動手段の安全確保は十分か?文科省通知から読み解く
  • 第2回:部活動の遠征バス、実は「顧問・学校任せ」になっていないか
  • 第3回:貸切バス・自家用車・教員運転、遠征の移動手段ごとの法令上の注意点
  • 第4回:部活動の「地域移行」で増える、学校外への移動ニーズ(この記事)
  • 第5回:遠征中の位置情報共有、保護者・学校間でどう仕組み化するか(近日公開)
  • 第6回:中学校の部活動送迎、小学校の統廃合対応とは違う課題(近日公開)
  • 第7回:部活動遠征を「安全に、仕組みで」支える体制づくり(近日公開)


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