保育現場のヒヤリハットと対処法を解説! 事故を未然に防ぐためにやるべきこと
幼稚園、保育園運営
2022/08/14
子どもたちにとって数多くの危険が潜んでいる保育の現場ですが、保育施設での事故報告数は近年増加傾向にあります。
ちょっとしたトラブルが重大な事故につながらないよう「ヒヤリハット」対策が非常に大切です。
この記事では、実際のヒヤリハット事例や事故を未然に防ぐためにできる対策などを詳しく紹介します。
保育現場でのヒヤリハットとは?
「ヒヤリハット」とは、ヒヤリとしたことやハッとした事象のこと。重大な事故やケガにはつながらなかったものの、一歩間違えばそのような事態に陥っていた状態を指します。
厚生労働省の「2020年教育・保育施設等における事故報告集計の公表」の資料によると、認定こども園や幼稚園・保育所などで発生した事故報告数は1586件と、前年と比べ287件増加しています。
この中には骨折の事故も多く含まれており、「ヒヤリハット」が深刻なトラブルや事故に直結していた可能性も少なくありません。
事故が増加傾向にある今の状況を改善するためにも、保育施設内での現状をしっかりと把握し、きちんと対策を立てることが重要です。
▼参考
厚生労働省「2020年教育・保育施設等における事故報告集計の公表」
実際のヒヤリハット事例
保育施設でのヒヤリハットには、ちょっとしたトラブルから命の危険に関わる重大な事故まで、さまざまなケースがあります。
実際に保育園や幼稚園で発生した、ヒヤリハットの具体例をチェックしておきましょう。
ヒヤリハット事例1:転倒
特に多いヒヤリハットの事例が、転倒です。
園庭で走っていて転びそうになった、遊具の階段を踏み外しそうになったなどの事例は、元気いっぱいに遊ぶ子どもたちにはよくあることなので、しっかりとした事故の防止対策が必要になります。
ヒヤリハット事例2:衝突
衝突も保育中に多いヒヤリハットの事例です。
夢中になって遊んでいると周りが見えなくなることがあり、追いかけっこをしていてぶつかりそうになったり、壁に衝突しそうになったりすることも。
ハサミなどを使用中に子ども同士がぶつかってしまうと、大ケガを負う可能性もあります。
ヒヤリハット事例3:誤飲
低年齢の子どもは何でも口に入れてしまうことがありますが、誤飲は窒息にも関わる危険なヒヤリハットの事例です。
3歳児の口径は約4cmあり、トイレットペーパーの芯を通る大きさのものは、口に入って窒息する可能性があると注意喚起されています。
ビーズなどの細かいおもちゃや小さな部品、床に落ちていたゴムやティッシュも口に入れてしまう恐れがあります。
ヒヤリハット事例4:食物アレルギー
小麦や卵、牛乳などの食物アレルギーを持つ子どもに対する食物アレルギー事故も、命に関わるとても危険なものです。
アレルギーの子どもに誤ってアレルギー成分の入ったメニューを配膳しそうになった、クッキング活動中に材料を触った手を口に入れそうになった、小麦粉アレルギーの子が小麦粉粘土で遊びそうになったなど、
該当の食べ物を口にするだけでなく、目や鼻から入れたり、手で触れたりした場合も発症してしまう可能性があるので注意が必要です。
ヒヤリハット事例5:お昼寝中の事故
ヒヤリハットは活動中だけでなく睡眠時にも起こります。死亡事故などの重大な事態につながりやすいのがお昼寝中です。
うつぶせ寝は口や鼻が塞がって窒息しやすく、乳幼児が突然死亡してしまう原因不明の病気「SIDS(乳幼児突然死症候群)」を発症させる可能性があります。
布団やタオルケットが顔にかかることでも呼吸の妨げになるので、睡眠時の状態をしっかりとチェックすることが求められます。
ヒヤリハット事例6:水遊び中の事故
プールやどろんこ遊びなど、水を使った遊びは子どもたちに人気ですが、プールで足を滑らせそうになる、水をかけ合ってたくさんの水を飲みそうになった、など夢中になって遊ぶあまり事故につながるケースがあります。
また、乳幼児は10cmほどの深さの水でも溺れてしまう可能性があります。溺れた状況を理解できず、声を出す余裕もないため静かに溺れることが多く、溺れていることに気づかず重篤な事故につながることもあります。
ヒヤリハット事例7:お散歩中の事故
園外での活動時にも、園内とは異なるヒヤリハットが多く潜んでいます。
急に走り出し自動車にぶつかりそうになった、手をひっぱりあって転びそうになった、落ちていたタバコに触りそうになったなど、外で開放的な気分になるため、予想できない行動がケガや事故につながってしまいます。
園外では、不審者に遭遇する場合もあります。散歩中に突然声をかけられたり、後ろをついてこられたりすると、子どもが恐怖を感じるだけでなくトラブルにつながることもあります。
▼参考
労働省「保育所におけるリスク・マネジメントヒヤリハット/傷害/発症事例報告書」
もしもヒヤリハットが発生したら?保育現場で行うべき対策方法
では、細心の注意を払っていても、ヒヤリハットが発生してしまった時はどうするべきなのでしょうか?
ヒヤリハット事例を活かして事故を防ぐために、行うべき対策の4つのポイントを詳しく解説します。
①保育士同士で報告しあう
まず、ヒヤリハットが発生したら、保育士同士で報告を行いましょう。責任を問われることを恐れ、隠蔽するようなことは避けるべきです。
クラスの担任保育士だけではなく、非正規職員や臨時職員、保育実習生にも情報を共有し、園全体で危険な箇所や子どもたちの状態を把握することでリスク回避ができます。
②過去の事例を確認しておく
ヒヤリハット事例は、報告書としてデータにまとめ、いつでも確認できるようにしておきましょう。
データをストックし多くの事例を知っていることで、トラブルが予測できます。危険防止や環境の改善をすることで事故を未然に防げます。
③緊急時の対応方法を決めておく
重大な事故やケガが発生してしまったときのために、緊急時の対応方法を職員全員で把握しておくことも重要です。
内閣府の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」では、非常事態に備え、役割分担を決めておくことを推奨しています。
発見者は助けを呼び連絡を依頼、準備担当職員はAEDを準備し心肺蘇生や症状の記録にあたり、連絡担当職員は119番通報をするなどの対応がまとめられています。
それぞれの保育施設の環境に合わせて、ガイドラインを参考に緊急時マニュアルを作成し、定期的に訓練をしておきましょう。
④危険予測の判断基準の見直し
子どもの安全を守るために、危険予測の判断基準を見直すことも重要です。
大人から見た危険と子ども目線の危険は異なるもの。事故につながる可能性のある場所やおもちゃなどは、大人の基準ではなく、子どもの立場になって、実際にどう行動するかを想定します。
職員同士で意見を出し合いながら、滑りやすそうな場所、転倒しそうな場所、落ちたら危ない場所などをリストアップしておきましょう。
▼参考
内閣府「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
保育ICTシステム「うぇぶさくら」の導入で情報共有の徹底と再発防止を
ヒヤリハット対策で非常に大切なのが、しっかりと事例を報告すること。情報を共有しておかないと、再び同じケガや事故、トラブルが起こりかねません。
報告書をもとに予防策を考え、園全体でリスク回避の意識を高めつつ、反省・改善に努めていくことが大切です。
こうした情報の共有に有効なのが、保育ICTシステム「うぇぶさくら」の導入です。「うぇぶさくら」は、保育園や幼稚園の先生たちの希望をすべて詰め込んで開発され、業務負担を軽減することで質の高い保育サービスの提供が可能になります。
園児台帳、指導計画、登降園管理、職員出退勤管理など、数多くの便利な機能が搭載され、複雑な業務をすべて一元化できます。
「うぇぶさくら」の機能の一つとして、事故・ヒヤリハット機能があります。保育現場のヒヤリハットや事故を1件ずつ登録し、データとして蓄積可能です。
発生日時や場所、対象園児、進捗状況などを登録すると、それがそのまま報告書になり、データを集計して分析グラフを作成できるので、保育園内の事故やヒヤリハットの情報共有、再発防止に役立ちます。
子どもたちの安全を守りながら、業務効率もアップできる保育ICTシステム「うぇぶさくら」。園全体でヒヤリハット対策に取り組むために、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
▼総合保育管理システム うぇぶさくら
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まとめ
- 「ヒヤリハット」とは、ヒヤリとしたことやハッとした事象のことで一歩間違えば重大な事故やケガに陥っていた状態を指す
- 保育施設では、転倒・衝突・誤飲など小さなトラブルから命の危険に関わるものまで、さまざまなヒヤリハットがある
- ヒヤリハット発生時には、保育士同士で報告し、過去の事例を確認するなどの対策が重要
- ヒヤリハット報告書を効率的に作成するには、保育ICTシステムの導入が有効