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保育士不足は解消できる?現状から読み解く解決策とは

幼稚園、保育園運営

2022/11/24

令和4年8月、厚生労働省は「新子育て安心プラン」に基づく各市町村の取り組み実施状況を公表しました。
実施計画の集計からは、令和3年度から令和6年度末までの4年間で利用定員数は約13.0 万人分増加し、待機児童は解消すると見込まれています。
保育の受け皿の整備は順調に進んでいますが、その一方で課題となっているのが保育士人材の確保です。

保育士不足の現状

保育士が不足している原因として保育士の需要と供給のバランスが取れていないことが指摘されています。

保育の受け皿の拡大

政府は平成25年4月に「待機児童解消加速化プラン」を策定しました。
その結果、保育の受け皿は平成29年度末までに約53.5万人分が拡大されて5年間で50万人分としていた政府目標を達成し、平成30年度からの「子育て安心プラン」でも合計約26.1万人分を拡大しました。
令和3年度からは「新子育て安心プラン」にて令和6年度末までに約14万人分の保育の受け皿を確保することを目標としています。
受け皿の拡大には保育士の確保が不可欠ですが、依然として保育士が不足している状況が続いています。

保育士の有効求人倍率

実際に過去5年間の保育士の有効求人倍率は常に高い水準で推移しています。
どの年度でも1月前後にピークを迎える傾向があり、各年度の最も高い月では平成29年度が3.40倍、平成30年度が3.64倍、令和元年度が3.86倍、令和2年度が2.94倍、令和3年度が2.93倍でした。
保育士1人に対して2~3人の求人があり、供給が需要に追いついていない状況です。

参照:厚生労働省「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」
https://www.mhlw.go.jp/content/R2.11..pdf

潜在保育士の存在

政府は平成27年1月に「保育士確保プラン」を策定して保育人材増加のための取り組みを始めました。
保育士登録者数は年々増加し、平成26年は約125万人だったのに対し、平成30年は約154万人になりました。
しかしながら、平成30年の実際の従事者数は約59万人で、保育士登録しているものの保育士として働いていない潜在保育士が約95万人いました。
保育士不足解消のためにはこれらの潜在保育士の活用が不可欠です。

参照:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf

保育士として働くことを希望しない理由

保育士として働いていた人が離職する理由や、保育士として働いていない人が働くことを希望しない理由として代表的なものには以下があります。

命を預かる責任の重さ

保育士は子どもの命を預かる仕事です。
活動している最中には子どもが怪我しないか見守り、午睡中にも子どもの呼吸が正常かどうかをチェックします。
地震などの自然災害の際にも子どもの安全確保を第一に行動しなければなりません。
保育士配置基準は国によって定められていますが、1・2歳児は50年以上、4・5歳児は1948年に基準が制定されて以降70年以上も改善されておらず、国際的にも低水準のままです。
保育を必要とする家庭の増加とともに保育士の負担も増えていることからプレッシャーを感じ、仕事を続けることが難しくなってしまう保育士もいます。

人間関係への不安

保育士が不安に感じる人間関係としてまず挙げられるのが職場の上司や同僚との関係です。
保育士は女性が多い職業であり、それゆえの人間関係の難しさがあります。
複数担任制を採用しているところでは保育方針などの考え方が違った場合に意見が対立してしまい、人間関係に影響を及ぼすこともあります。
職場だけでなく、保護者とのコミュニケーションも保育士が気を遣う場面です。
本来保育とは保護者と保育士が連携をしながら行うものです。
しかしながら保護者がそのような意識を持ち合わせていない場合はコミュニケーションが取りにくく、信頼関係の構築に苦労することがあります。

低い給料水準

責任の重さに対して給与が低いと感じている保育士が多くいます。
実際に他の職種と比べても保育士の給与は低水準です。
令和元年賃金構造基本統計調査によると、平均賃金を月収換算すると全職種では41.7万円なのに対して保育士は30.3万円となっています。

参照:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf

長い労働時間

保育士は直接子どもを保育するだけでなく、連絡帳や計画書類を書くなど多くの事務作業もしなければなりません。
しかしながら、保育中に事務時間を確保することは難しく、子どもの午睡時間や休憩時間の合間を縫って作業しています。
業務時間内に終わらなければ残業をしたり持ち帰って仕事をすることもあります。
体調不良等の突然の欠勤で保育士数が配置基準に満たない時間帯は超過勤務を求められることも多く、長い労働時間は保育士の不満となっています。

保育士不足の解消に向けた対策

政府は保育人材の確保に向けた総合的な対策として、処遇改善に加えて新規資格取得支援や就労継続支援、離職者の再就職支援に取り組んできました。
「子育て安心プラン」や「新子育て安心プラン」においても、支援のポイントの一つに保育人材の確保があり、処遇改善を踏まえたキャリアアップの仕組みの構築や保育士の業務負担軽減のための支援などが掲げられています。

保育士のキャリアアップと処遇改善

保育士の処遇改善はこれまでも行われてきましたが、令和4年2月から「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」が実施されています。
この事業では保育士等の収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための補助金が支給されています。
また、キャリアアップによる処遇改善に要する費用に係る公定価格上の加算として、技能・経験に応じた処遇改善等加算Ⅱが創設されました。
これは副主任保育士・専門リーダー、職務分野別リーダー、若手リーダーといったキャリアパスの仕組みを構築して保育士等の処遇改善に取り組む施設・事業所に対して支払われるものです。
研修を受けて技能を習得することでキャリアアップできて給与にも反映されるので、保育士の仕事に対するモチベーションの維持が期待されています。

労働環境改善による働きやすい職場の実現

保育士の業務負担は、労働条件や環境の改善によって軽減することが可能です。
最近ではノンコンタクトタイム制を導入して子どもから離れている時間を確保する保育園も増えています。
長時間勤務が続くようであれば勤務時間を見直すとともに、どの業務を効率化できるか時間のかかる業務を洗い出すことが必要です。
効率化の推進に欠かせないものにICT化があります。
政府も保育所等におけるICT化推進事業を展開しており、保育に関する計画・記録の作成、保護者との連絡、子どもの登降園管理といった業務においてICTを導入するための費用を支援しています。

ICTシステム「うぇぶさくら」の導入で保育士不足解消に向けた業務改善を実現

保育士の確保に悩んでいる保育園はICTシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お勧めできるICTシステムの一つに「うぇぶさくら」があります。
「うぇぶさくら」は、子どもに向き合う時間を確保したいという保育園や幼稚園の先生たちの声から生まれた総合保育管理システムです。
計画や記録の作成、園児の情報管理、保護者との連絡や請求管理、職員の勤怠管理といった多岐に渡る管理業務をWeb上で一元管理できるのが特徴です。
Web上での作業や管理は手作業で行った業務の時間短縮が可能となるだけでなく、保護者との情報共有のツールとしても活用できます。
保護者にとっては文章だけでなく写真などを通して園での生活の様子を把握できるようになり、保育士との連携を図りやすくなるでしょう。

▼総合保育管理システム うぇぶさくら
https://web-sakura.jp/

弊社でもうぇぶさくらを取り扱っておりますので、お問い合わせはお気軽にどうぞ!
https://moqul.net/contact

まとめ

待機児童解消のために保育の受け皿が拡大されましたが、それを支える保育士の供給が間に合わず保育士不足が大きな課題となっています。
保育士として働くことを希望しない理由には責任の重さや人間関係の難しさ、給与や労働時間といった労働条件が挙げられます。
保育士の確保のためには処遇改善や労働条件・労働環境の改善が不可欠です。
ICTシステムの導入による業務改善で働きやすい職場を実現することは、保育士不足解消のための取り組みにもなるでしょう。

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