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全国で導入が進むコミュニティバスの成功事例や今後の課題を詳しく解説

コミュニティバス

2023/01/06

高齢化・少子化が進む中、日本の路線バスは多くの地域で衰退の傾向にあり、路線廃止や事業者の撤退が相次いでいます。
その影響で、多くの場所で日常生活を送るための移動が困難な交通弱者が増加していることが問題になっています。この状況を解消するために、各自治体で積極的に導入されているのが「コミュニティバス」です。
廃止されたバス路線を引き継いだり、ニーズに合わせた独自の路線を運行するなどで住民の足となり、地域活性化につながっている例もあります。
この記事では、コミュニティバスの定義やコミュニティバスの成功事例、今後コミュニティバスの運行を継続していくための課題などについて、詳しく解説します。

 

そもそもコミュニティバスとは?

コミュニティバスには厳密な定義はありませんが、国土交通省の資料によると「交通空白地域・不便地域の解消等を図るため市町村等が主体的に計画し」運行するもの、と記載されています。
しかし、100円賃金のバスや循環型バスなど、交通空白地域以外で運行されているものもコミュニティバスに含まれ、民間バス事業者やNPOへ業務委託を行なっているケースもあります。
一般的な路線バスと区別して、既存の路線以外でさまざまな目的のために運行するバスのことを全般的に「コミュニティバス」としていることが多いようです。
高齢化や過疎化が進み路線バスの廃止が相次ぐ中で、コミュニティバスを導入する自治体は増加傾向にあり、今後も交通問題の効果的な解決策として注目されていくと考えられます。

▼参考
国土交通省「コミュニティバスの特性と導入目的」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/soukou/ppg/ppg7/bus.pdf

 

コミュニティバスの成功事例

利便性を高めるためにコミュニティバスを導入しても、地域の需要にマッチしていなければコミュニティバスの存続が困難になる場合があります。
コミュニティバス事業成功のために重要なポイントは、住民のニーズをしっかりと把握すること。ここでは、導入後に成果を出すことができた成功事例をご紹介します。

成功事例1: 京都武蔵野市 「ムーバス」

コミュニティバスの先駆けとなった成功事例が、東京都武蔵野市で1995年に運行を開始した「ムーバス」です。
武蔵野市に住む高齢者から遠くのバス停まで歩くのが困難だという要望を受け、バリアフリーに対応したノンステップ小型バスを採用し、住宅街の中にも入り込むルートでの運行をスタート。歩行距離が少なくてすむよう、バス停は200m間隔に設定しました。
現在、7路線9ルートで1日50便以上を運行。運賃は100円(未就学児は無料)とし、車内にコミュニティボード(伝言版)や貸出用傘、車いす収納スペースを設置するなど、多くの人が気軽に、かつ安全に外出できるように配慮されています。

運行開始当初は不採算が予想されましたが、客足は予想を大きく上回る結果に。家からあまり出ることがなかった高齢者や小さな子どもを連れた親子の姿が街に目立つようになったそうです。
運行から3年ほどで黒字化を達成。2020年に累計利用者が5000万人を突破するまでになりました。地域のニーズをしっかりと捉え、潜在需要を掘り起こした成功事例と言えるでしょう。

成功事例2:京都府京都市「醍醐コミュニティバス」

もう1つの成功事例が、京都府京都市の醍醐地区で2004年に運行をスタートした「醍醐コミュニティバス」です。
醍醐地区は市営地下鉄東西線開業に伴って市バスが撤退し、地区内の移動が不便になっており、病院や公共施設にアクセスするための日常的な足となる公共交通手段が必要とされていました。

そこで結成されたのが、地域住民と企業などが主体となった任意団体「醍醐地域にコミュニティバスを走らせる市民の会」です。新規乗合バス事業者「ヤサカバス」と契約し、4路線・1日約170便のバス運行を開始しました。
通院や買い物の便を考えて狭い道路にも入り、病院や団地、商業施設を通るルートを考案。始発時刻は、病院の受付開始の午前8時に間に合う時間をl考慮し、終発は通院・買物利用が終了すると考えられる午後7時30分頃に設定されています。料金は大人1回210円、小学生以下は1回110円。 全線乗り降り自由の1日乗車券も320円と利用しやすい価格です。

1日当たりの利用者は予想の500人程度を上回り、600~700人を記録。エリア内の回遊性・アクセス性が飛躍的に向上し、バスの時刻に合わせたイベントが開催されるなど、地域活性化にもつながった成功事例です。

 

コミュニティバス運行に伴う今後の課題とは

地域の足となり、交通問題を解決できるコミュニティバスですが、運行を続けていくためにはさまざまな課題もあります。
これらの解決にどう取り組んでいくかも、コミュニティバス導入時にしっかりと検討を重ねておきたい部分です。

バス運転手の人手不足

路線バスの運転には大型二種免許が必要です。しかし、この免許取得者数が近年減少傾向にあります。警察庁の運転免許統計によると、2021年の大型二種免許保有者数は824,732人で、2001年の1,191,554人に比べ、7割以下にまで減少しています。さらに、2021年の大型二種免許保有者のうち、65歳以上が占める割合は45.9%となっており、大型二種免許保有者の高齢化も進んでいます。

つまり、新たにドライバーとなる資格取得者が少なく、定年退職していく人材を補充することが難しい状況にあるということです。こうした問題を受け、各地のバス会社では運転手の定年延長や、大型二種免許の取得を助成し新規人材の確保に取り組んでいます。

しかし、バス運転手の仕事は長時間勤務や早朝・深夜勤務が多いことに加え、給料も他分野に比べ低い傾向にあります。労働環境の改善や給与アップなどを行い、職業自体のやりがいを向上するなど、根本的な取り組みが問題の解決のために必要といえるでしょう。

▼参考
警視庁「運転免許統計」(令和3年度版)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html

デマンド型交通への移行

近年、各自治体で路線バスやコミュニティバスの「デマンド型交通」への置き換えが推し進められています。
その背景にあるのが、国土交通省が2011年4月から実施している「地域公共交通確保維持改善事業」です。新規にデマンド型交通を設定する場合、国から補助金が得られるのが置き換えを後押ししています。
また、予約に応じて運行し空のバスを走らせる必要がないため、大幅に運行コストを抑えられることも、デマンド型交通への置き換えを選択する大きな理由となっています。
過疎化による利用数のさらなる減少などから、デマンド型交通への置き換えは今後も増えることが見込まれ、同時にコミュニティバス廃止の増加にもつながると予想されます。

コロナ渦による影響

新型コロナウイルス感染症の流行によるバス事業の悪化も、今後コミュニティバスの運行を続けられるかどうかに関わる大きな課題です。
コロナ禍で外出自粛が呼びかけられた影響で、各地のバス利用者は大幅に減少しています。テレワークやオンラインの普及により、移動需要自体が減少したことも利用が落ち込んだ原因と考えられています。
補助金が出ても運賃収入が減り、自治体の財政負担が増えている状況があり、コミュニティバスの廃止や減便が相次いでいるのが現状です。
コロナ禍の影響を乗り越えるために、バスの運行に関する情報をデータ化し共有すること、それを分析してニーズに合わない運行や不要なコストを削減してサービスの最適化を目指す、さらに地域と協力し新たな乗客を獲得する、などの対策が求められていくでしょう。

 

バスの位置情報LINE通知システム「モークル」

このようなコミュニティバスの課題解決に効果的なのが、リアルタイムでバスの現在位置を利用者へ通知できる、バスの位置情報システム「MOQUL(モークル)」です。
「モークル」は、専用のアプリなどをインストールする必要はなく、普段利用しているLINEを使用し、シンプルな操作で利用できるのが大きな特徴。
コミュニティバスは細い道を走ることが多く、渋滞などの影響で時刻通りに到着しない場合もあるでしょう。そんな時にも、「バスが今どこを走っているのか」を知りたいときに確認でき、到着時間も予測できるので、「あとどのくらいで着くのだろう?」という利用者の不安やイライラを解消することができます。

また、「今どこ?」ボタンをタップするだけで、送迎バスの位置情報を取得でき、15秒毎の更新で、送迎バスの現在位置を正確に知ることが可能。高齢者が多くを占めるコミュニティバスの利用者にもシンプルな操作でわかりやすいので、満足度アップに効果的です。
交通空白地域で住民にとって欠かせない移動手段となるコミュニティバス。さらに利便性を向上し、持続可能なバス事業運営を実現するために、バス位置情報LINE通知システム「モークル」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

「MOQUL(モークル)」について詳しくはこちら
https://moqul.net/

 

まとめ

  • コミュニティバスとは、一般的に交通空白地域解消などのため市町村が主体となり運行するバスのこと
  • 東京都武蔵野市 「ムーバス」など、交通問題を解消し地域活性化にもつながった成功事例がある
  • 運行の継続には、人手不足やデマンド型交通への移行、コロナ禍の影響による利用客減少などさまざまな課題が
  • 位置情報通知システム「モークル」を導入し、利用者の満足度向上がコミュニティバスの運行継続にも効果的
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