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バス業界におけるドライバーの高齢化 雇用する際の注意点を解説 

お役立ち情報

2023/07/07

近年、バス業界では人材不足や採用難からドライバーの平均年齢が上昇傾向にあります。
主力となっているのは50代以上。しかも、平均年齢は年々上昇し続けていると言います。
この記事では、バス業界でドライバーが高齢化している現状や、高齢者ドライバーを雇用する際の注意点を詳しく解説。
活用することで高齢ドライバーが多く勤務する中でも、安全運行確保に効果的な位置情報通知システムもご紹介します。
 

バス業界におけるドライバーの高齢化

今、全国のバス事業者が慢性的な運転手不足と高齢化に頭を悩ませている現状があります。
警視庁の運転免許統計によると、2022 年の大型二種免許保有者数は802,143人で、20年前の1,191,554人と比較して、大幅に落ち込んでいます。
さらに、2022年の大型二種免許保有者のうち65歳以上は370,572人。全体のほぼ半数に迫る状態となり、大型二種免許保有者の高齢化が深刻です。
これらのデータから、バスのドライバーとして勤務できる大型二種免許の保有者数が大きく減少し、高齢化が進んでいることがわかります。
幼稚園や保育園の送迎バスでも、同様にドライバーの高齢化は進んでおり、筆者が幼稚園関係者から聞いたところによると「幼稚園バスの運行時間は朝と午後、各1~2時間程度。運転時間以外は特に仕事も無いので、園庭の植物や遊具の手入れをしてもらっている」とのこと。
乗車時間が少ないこともあり、給料はあまり多く支払えず、「30代の働き盛りの男性は雇えず、定年退職後の方に来ていただいている」と園関係者は話します。
このような現状で、実際に幼稚園バスのドライバーとして勤務している方は、70歳以上の方も多いのではないでしょうか。

一方で、雇用延長や再雇用など企業側の制度が充実してきたこともあり、若手運転手の採用は難しい状況です。
定年を迎え退職していく人材を補充することができず、今後もバス運転手の平均年齢は、上昇傾向を続けると予想されています。

▼参考
警視庁「運転免許統計」(令和4年度版)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html
 

高齢者ドライバーを雇用する際の5つの注意点

こうした高齢化が進むバス業界の中で、ドライバーを雇用する際にはどんな点に注意すればよいのでしょうか。
健康面や適性など、採用時にチェックしておくべきことは多くあります。特に、以下の5つのポイントで配慮が必要です。

健康状態の確認

まず、高齢ドライバーを雇用する際に注意しておきたいのが、健康状態をしっかりと確認することです。
交通事故の原因になると考えられるのが、視力や聴力、体力の低下です。若年層と比較すると体調管理が自身で十分にできず、高血圧などの症状を抱え、さまざまな病気を発症するリスクも多いと考えられます。
健康状態に起因するドライバーの急な欠勤が続くと、バスの安定運行に影響を及ぼすため、雇用時には既往歴や自覚症状の有無などをしっかりと聞き取り調査する必要があります。
雇入れ時の健康診断として、適切な時期に下記の項目の検査を実施しておくことも推奨されます。

・身長、体重、腹囲の計測
・視力、聴力の検査
・胸部エックス線検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査

また、入社後に継続して定期的な健康診断を実施することも従業員の健康を守り、安定して仕事に集中できる環境をつくるために重要です。
健康診断の結果を記録、結果に基づいた医師からのアドバイスを聴取し保健指導も行うなど、実施するだけでなく結果を日々の健康維持に役立てられるよう、雇用側も取り組みが必要です。

ドライバーの適性評価

採用前に、ドライバーとしての適性があるかどうかを判断しておくのも重要なポイントです。
バスの運行は、常に時間を気にしながら交通状況なども考慮し、安全運転を行う必要があります。バス利用者へのアナウンスや配慮・声かけなど、一般的なマナーやコミュニケーション能力も不可欠です。
それに加えて、事故を起こさずに運行できる、集中力のある人、真面目にコツコツ仕事に取り組む人が向いていると言えるでしょう。
自動車学校などでは、国土交通大臣が認定する「適性診断」を実施しているところもあります。
運転に従事する職種を対象に、運転に対する長所・短所などの「運転のくせ」をさまざまな測定でチェックし、どのように影響しているのかを分析。それぞれに応じたアドバイスを提供しています。
定期的に診断することで、過去の結果との比較も可能。雇用後も実施を継続し、ドライバーの安全意識の向上と交通事故防止に活用するのも効果的です。

労働条件の調整

バスドライバーの仕事は、一般的に「早番」「遅番」「通し」「中休」など、交替制となっており、変則的な勤務や長時間拘束される日もあります。
しかし、疲労の蓄積や睡眠不足は重大な事故を起こす原因となります。多くの乗客の仕事を預かるバス運転手は、安全確保のために十分な休息をとることが重要なため、「拘束時間」「運転時間」「休息時間」などが「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)として、細かく規制されています。
2023年12月には、自動車運転者の健康確保等の観点により見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改正されました。
改正後の基準は以下の通りです。

1年の拘束時間・・・原則3,300時間
1ヶ月の拘束時間・・・原則281時間、最大294時間
1日の拘束時間・・・13時間以内(上限15時間、14時間超は週3回までが目安)
1日の休息時間・・・継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
運転時間・・・2日平均1日:9時間以内、4週平均1週 : 40時間以内
連続運転時間・・・4時間以内(運転の中断は1回連続10分以上、合計30分以上)※高速バス・貸切バスの高速道路の実車運行区間の連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努める

さらに、高齢ドライバーの場合は、若年層に比べ体力・持久力の低下や疲労の蓄積度が多いことが考えられます。
それぞれの状況に合わせ、勤務時間を短縮する、休息時間を延ばす、休息日を増やす、本人の希望を反映させたシフトづくり、さまざまなニーズに適した短時間勤務、就労形態を新たに設けるなどの労働条件の調整が必要になるでしょう。

▼参考
厚生労働省労働基準局「バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
https://www.mhlw.go.jp/content/001035022.pdf

安全教育と研修

高齢ドライバーだからといって、消極的な考えにとらわれず、現状をどう改善していくか取り組みを模索していくことも重要です。
あるバス事業者では、60歳以上のドライバーを対象に、加齢による自分自身の身体特性の変化に向き合い、自覚してもらうために特別な安全運転教育を実施。
その結果をドライバー同士で共有し、どうすればより安全かを話し合う場や安全監理官からの直接指導を受けられる機会を設けるなど、年齢を重ねても安全運転を確保できる研修に力を注いでいます。

また、同事業所では定年後の再雇用で賃金が低下することによる従業員のモチベーション低下を防ぐため、60歳の定年後も65歳まで雇用する「シニア正社員」制度を導入。
給与水準を定年前の水準に近づけ、賞与も支給し、定年時でも本人の意志と能力があれば役職は解かないという決断をしました。高齢ドライバーでも安全運行と仕事への意欲を保つことができる体制づくりを行っています。

こうした取り組みが高齢ドライバーの士気を上げ、結果的に事業所全体の活性化につながっていくと考えられます。

コミュニケーションとフィードバック

高齢ドライバーには、経験豊富で業務に精通していること、責任感を持って仕事に取り組めることなど、多くの強みがあります。

こうした適性を活かすために、日頃から社内コミュニケーションを活性化させ、フィードバックを行うことが大切です。
運転時の様子をドライブレコーダーなどで記録し、社内で共有してもらい、ドライバー間での情報交換を密に行ってもらうことも業務をスムーズに進めるために効果的でしょう。

あるバス事業者では、従業員とのコミュニケーショの一環として、社長自らが従業員の誕生日に家族へバースデイカードを送るようにしているといいます。
家族からの返事には介護に関する悩みなどが記されていることもあったといい、介護と仕事の両立を実現するため、柔軟な勤務シフト作成のための管理者向けセミナーの実施につなげました。

時間や機会を限定せずに幅広い相談ができる窓口を設けるなど、従業員からも声を上げやすい環境づくりが必要だといえるでしょう。

位置情報通知システム「モークル」で危険運転を防止!

従業員の高齢化が進む中、交通事故のリスクを減らし安全運行を確保したいという際に、おすすめなのが、ドラレコ搭載の位置情報通知システム「MOQUL(モークル)」です。
専用のアプリなどをインストールする必要はなく、普段利用しているLINEを使用し、簡単操作ですぐに利用できるのが最大の特徴。
「今どこ?」ボタンをタップするだけで、送迎バスの位置情報を取得でき、リアルタイムで送迎バスの現在位置を正確に知ることが可能です。
「モークル」には、パイオニア製の運行管理システム「ビークルアシスト」が標準装備されており、ドライブレコーダーでの運転診断機能も搭載されています。
急ブレーキ・急ハンドルなどの事故につながる危険運転時には、音声と画面の表示でドライバーに警告。危険運転の映像20秒間をドラレコから自動送信するとともに、危険運転の回数を記録・分析し、各ドライバーの運転診断ができるので、適切な運転指導にも役立ちます。

また、地図上に表示される危険運転が発生した場所を共有することで、未来の事故防止にもつながります。
万が一の事故の際も、鮮明な動画をオンラインで自動送信できるので、事務所に居ながらにして、現場の情報を確実に把握でき、迅速な対応ができます。

高齢ドライバーが多く勤務する中でも、利用者の満足度を高めつつ、事故・危険運転を防止し安全運行を確保できる「モークル」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「MOQUL(モークル)」について詳しくはこちら
https://moqul.net/
 

まとめ

  • 近年バス業界では、ドライバーの高齢化が慢性的な運転手不足が深刻な問題に
  • 高齢者ドライバーを雇用する際には、健康状態の確認や適性評価、労働条件の調整など、さまざまな配慮が必要
  • 「モークル」には危険運転通知機能などが搭載され、活用することで高齢ドライバーが多く勤務する中でも、事故を防止し安全運行を確保できる

(執筆者:酒井 恭子)

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