【モークル誕生ヒストリー 第5話】駅すぱあとのヴァル研究所と、病院ロビーのバス案内|モークルストーリー
モークルストーリー
2026/10/22 (更新日:2026/10/16)

前回の第4話では、LINE BOT AWARDS決勝の懇親会で、「駅すぱあと」で知られるヴァル研究所の方から声をかけていただいたところまでをお話ししました。第5話は、その出会いから生まれた、思いがけない連携のお話です。
高円寺のヴァル研究所へ
決勝のあと、お礼を兼ねてヴァル研究所にメールを送ると、担当の方をご紹介いただきました。そこから何だかんだと話が進み、東京・高円寺にあるヴァル研究所を訪問することになりました。
当時のヴァル研究所は、バスロケーションシステムを自治体向けに提案するビジネスを始めたところでした。乗り換え案内で培ってきた技術を、地方のバスにも広げようとしていたのです。
「坂下で、何かできないだろうか」
話をするうちに、「せっかくなら、モークルの実証実験をやっている坂下のコミュニティバスで、何かできないだろうか」という話になりました。
そこで生まれたのが、大型のモニターを用意して、バスの現在位置と発車時刻を表示しようというアイデアです。モークルが持っているバスの位置情報と、ヴァル研究所の案内の仕組みを組み合わせれば、それができる。
もう一度、中津川市役所へ
アイデアが決まると、私は再び中津川市役所に向かいました。お願いの内容は、「今のモークルとヴァル研究所のシステムを組み合わせて、バスを案内するサイネージの実験をやらせてほしい」というものです。
対応してくださったのは、第2話で「あれから、どうしたかな、と思っていたところでした」と声をかけてくださった、定住推進課の柘植良吾さんです。柘植さんはこの実験にたいへん興味を持ってくださり、協力することを約束してくれました。
データを、全部自分で作った人
この実験には、バス停の位置や時刻表といった基礎データ(GTFSと呼ばれる、公共交通の標準的なデータ形式です)が欠かせません。柘植さんは、それも市で用意すると言ってくださいました。
通常、こうしたデータの整備は外部の業者に依頼するものです。ところが柘植さんは、なんと、すべて自分で作ってしまいました。
柘植さんはその後、こうした取り組みが評価され、地方公務員アワード2020を受賞されています。何もない段階で訪ねてきた地元の会社の話に耳を傾け、待っていてくれた方が、全国で認められる存在になっていく。そのきっかけのひとつに関われたことを、とてもうれしく思っています。
LINEが身近ではない人にも
坂下でのLINEの実証実験には、ひとつ課題がありました。坂下のコミュニティバスは高齢の乗客が多く、LINEがあまり身近ではない方も少なくなかったのです。
スマートフォンを持っていなくても、LINEを使っていなくても、そこに行けばバスの様子が分かる。サイネージは、そんな方々にもバスの情報を届ける手段でもありました。
2018年4月6日、病院のロビーに
2018年4月6日、坂下にある国保坂下病院のロビーに、大型のモニターを設置しました。
モニターには、この病院を経由する全7路線について、ドライブレコーダーから届く通信情報をもとに、バスの走行位置を示した地図と、路線ごとの到着までの時間が映し出されます。到着時間は「あと約10分」「まもなく」と表示され、バスが近づくにつれて色が青、オレンジ、赤と変わり、音声でも案内する仕組みです。実証実験は9月30日まで行いました。
バス停は屋外にあることが多いものです。夏の暑い日や冬の寒い日でも、バスの到着ぎりぎりまで室内で待てるようになる。そんな思いで取り組みました。
正直に言うと、待合のロビーにいた方々から、目立った反応はありませんでした。それでも、病院の職員の方が興味深そうにモニターを眺めていたのを覚えています。
懇親会の一言から始まった「化学反応」
振り返ると、不思議なつながりです。LINE BOT AWARDSの懇親会でかけていただいた一言が、ヴァル研究所との連携になり、それが坂下の病院のロビーにつながりました。そしてその過程で、中津川市の担当者が自らデータを作り上げ、やがて全国から注目される取り組みへと育っていきました。
モークル一社だけでは、ここまでの広がりは生まれなかったと思います。人と人、会社と地域が出会ったときに起きる「化学反応」の面白さを、このとき初めて実感しました。






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