保育ドキュメンテーションとは?メリット・デメリットや導入の注意点を解説
幼稚園、保育園運営
2022/01/07
保育所保育指針では、保育の基本原則として「子ども主体の保育」について記載があります。
子ども主体の保育を実現する手法として近年注目を集めているのが「保育ドキュメンテーション」です。
本記事では保育ドキュメンテーションの特徴とメリット・デメリット、導入にあたって検討したいICT化について解説します。
保育ドキュメンテーションとは?
ドキュメンテーションとは、イタリア発祥のレッジョ・エミリア・アプローチと呼ばれる幼児教育実践法の特徴の一つです。
レッジョ・エミリア・アプローチは1991年にアメリカ版ニューズウィーク誌に取り上げられたことで注目されるようになりました。
このアプローチでは、子ども一人ひとりの個性や主体性の尊重や、子どもと保育者(教師)・保護者・地域住民の連携が重視されています。
ドキュメンテーションの内容とポイント
保育の現場でのドキュメンテーションは、子どもの活動の様子を写真や動画に撮影し、文章を添えて視覚的に記録することです。
日本では主に写真付きの記録としてドキュメンテーションを導入する保育園が近年増えています。
ドキュメンテーションには子どもが活動している姿の写真を掲載し、その場面での子どもの言葉やコメント、エピソードを記します。
例えば絵の具遊びをした時には「絵の具で絵を描きました」だけではなく、「指で絵の具に触れると驚いた顔をして保育者を見ました」など、子どもの思考や育ちを言葉で表現することが大切です。
保育所保育指針に記載されている「保育のねらい及び内容」に沿って子どもの育ちを意識して文章を書くと子どもの成長を実感できる記録になるでしょう。
作成されたドキュメンテーションは保育室や廊下などに展示し、子どもや保護者、保育者で共有できるようにします。
展示をするのは、保育者だけでなく子どもも活動を振り返ることで次の活動に活かすためです。
また、来園者があった時に園の様子を伝えるツールにもなります。
このようにドキュメンテーションは保育の「見える化」にも役立っています。
保育ドキュメンテーションのメリット・デメリット
保育ドキュメンテーションの導入によるメリットとデメリットをそれぞれ具体的に紹介します。
ドキュメンテーションのメリット
●子ども主体の保育を実践できる
冒頭で説明したように、ドキュメンテーションは子どもの主体性を尊重する幼児教育実践法の手法の一つです。
ドキュメンテーションの記録を見ながら日々の活動を振り返り、子どもの姿を元に次の活動計画案を考えることができます。
子ども自身も活動を目で見て振り返ることができるので、次は何をやってみるか考えやすくなります。
そのような経験を通して、子どもは自ら気づきを得て行動していく主体性が育ちます。
●保育者が子どもの育ちや興味関心を把握する力がつく
ドキュメンテーション作成のためには、その日の子どもがどういったものに夢中になっていたか、活動でどのような学びがあったのかなど、子どもの様子をよく観察しなければなりません。
担当しているクラスの子どもの人数が多い場合は、メモを取る必要もでてきます。
気づいた時にわずかでも記録していく習慣が身につくと、子どもの育ちを捉える力が養われます。
これは保育者にとって大切なスキルです。
●保護者との対話が増えて信頼関係の構築につながる
ドキュメンテーションは保護者との対話のきっかけにもなります。
写真によって子どもの園生活の様子が保護者もイメージしやすくなり、そこから保育者との話が広がっていくからです。
ドキュメンテーションの多くは保育室のそばに掲示されているので、送迎の際に気軽に見ることができます。
保護者がドキュメンテーションを見ているタイミングで保育者が話しかけることで対話につながります。
日頃から子どもの育ちの様子を共有することで保護者との信頼関係も構築されていくでしょう。
ドキュメンテーションのデメリット
保育ドキュメンテーションを導入すると、保育者の負担が増える可能性があります。
保育者が負担を感じる理由は主に2つあります。
●ドキュメンテーションを作成・振り返る時間が取れない
保育者は月案などの指導計画類や経過記録、連絡帳といった多岐に渡る書類を作成しています。
そのような中で新たに事務作業時間を確保することは大きな課題です。
●パソコン操作に時間がかかる
パソコン操作が苦手だったり園内のパソコン台数が限られていたりするとドキュメンテーションの作成に大幅な時間がかかります。
ドキュメンテーションは手書きでも作成できますが、デジカメの写真を取り込む必要があるのでパソコンで文章までタイプして作成した方が効率よく完成できるでしょう。
保育ドキュメンテーション導入の注意点
保育ドキュメンテーションを導入する際には、保育者の負担にならないように配慮することが大事です。
デメリットでも触れたように、保育者は日頃から事務作業時間を十分に確保できないまま保育をしています。
ドキュメンテーションの作成や振り返りをした結果、残業になってしまっては意味がありません。
このため、ドキュメンテーション導入の際には現在行われている事務作業の見直しが必要です。
例えば、ドキュメンテーションを毎日作成するのであれば、別途日誌を作成せずドキュメンテーションを日誌とすることが可能でしょう。
また、作業が増えることや新しい取り組みを始めることに不安を感じる保育者もいます。
導入前には保育者の理解を得るために時間をかけて説明し、導入後も聞き取りをするなどフォローが必要になるでしょう。
保育ドキュメンテーションを始めるなら検討したいICTシステムの導入
保育者の負担を増やすことなくドキュメンテーションを導入するためにはICTの活用が有効です。
厚生労働省が実施した「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」では、保育業務で作成する書類に関する実態調査が実施されました。
調査結果では、書類作成の負荷はクラスに入っている一般保育士に集中していること、ICTはアンケートに回答した 149 施設のうち約半数が活用していることが明らかになりました。
書類別では、クラス記録(日々の記録)の作成状況は「毎日」が75.7%、ICTの活用が有るのは22.2%でした。
この調査結果からICTを活用している園はまだ限定的だということがわかります。
業務効率化を図って保育者の負担を減らすためにもICT導入を検討する余地は大きいでしょう。
▼厚生労働省「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究 事業報告書」
https://www.mhlw.go.jp/content/000636458.pdf
保育ICTシステム「うぇぶさくら」はドキュメンテーション作成にも活用できる
うぇぶさくらは保育ICT化に対応した保育管理システムです。
日々の業務が一元管理されたシステムで、パソコンが苦手な方にもわかりやすい画面で簡単に操作できることが特徴です。
業務効率化はもちろん、ドキュメンテーションの作成時間短縮にもうぇぶさくらの機能を活用することが可能です。
例えば、連絡帳機能ではドキュメンテーションに記載した内容をコピーアンドペーストして文章を作成すると子どもの様子を具体的かつ効率よくまとめることができます。
写真販売機能では、保護者販売用にイベントごとに写真を整理しておくのでドキュメンテーション作成の際にすぐに写真を見つけることができるでしょう。
この他にも指導計画の作成など、うぇぶさくらには保育士が必要とする機能が揃っています。
うぇぶさくらの機能はこちらで確認できます。
▼うぇぶさくら機能一覧
https://web-sakura.jp/functions_list/
https://moqul.net/contact
まとめ
保育活動を視覚的に記録するドキュメンテーションには、子ども主体の保育の実現・保育者のスキル向上・保護者との対話による信頼関係の構築といったメリットと、保育者の負担が増えるというデメリットがありました。
負担を増やさずにドキュメンテーションを導入するために期待されるのがICTの活用による事務作業の効率化です。
うぇぶさくらのようなICTシステムを活用して、無理なくドキュメンテーションを作成していきましょう。