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乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?リスクを減らす対策や予防法を解説

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2022/05/27

乳幼児突然死症候群(SIDS)とはどんな病気?

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、乳幼児が主に睡眠中に突然死に至る、原因不明の病気です。
厚生労働省のSIDS診断ガイドラインによると、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」とされています。
睡眠中の死というとうつぶせ寝や口鼻を塞がれたことによる窒息事故が思い起こされますが、SIDSは事故ではなく病気です。

参考:厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_guideline.pdf

SIDSの発症には以下の特徴があります。

  • 生後2ヵ月から6ヵ月の乳児に多い(稀に1歳以上でも発症)。
  • 12月以降の冬期に発症しやすい。
  • 男児に多い。
  • 日本での発症頻度はおおよそ出生6,000~7,000人に1人。

厚生労働省は平成11年度より毎年11月をSIDSの対策強化月間と定め、普及啓発活動を実施してきました。
平成11年のSIDSによる死亡者数は412人でしたがそれ以降は減少傾向となり、令和元年には78人の乳幼児がSIDSで亡くなっています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因は?

SIDSの原因は世界各国で調査研究が行われていますが、未だに解明されていません。
しかしながら、SIDSを引き起こしているものとして呼吸調整機能の異常やうつ熱が考えられています。
正常な乳幼児でも睡眠中に無呼吸や低呼吸になることがあります。
そのような場合には覚醒反射が生じて呼吸を持続しますが、覚醒反射が遅れると低酸素症が引き起こされます。
それがSIDSにつながるという考えです。
同様に、うつ熱でも覚醒反射が遅くなるという説があります。
うつ熱は環境要因により熱がこもり高体温になる状態です。
環境要因には、気温・湿度の上昇、着せすぎ、熱めのミルク、うつぶせ寝などがあります。
乳幼児は自分で布団から出たり衣服を脱いだりできません。
放熱が妨げられて高体温化した状態で深い睡眠状態に陥り、覚醒反射が遅れて眠り続けてしまうと呼吸の抑制が起こります。
実際にSIDSで亡くなった乳児からは、血液中の酸素レベルの低下や死亡後の高体温が観察されています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクを減らすには

SIDSの原因は解明されていないため予防方法は確立していませんが、発症の危険因子は明らかになっています。
厚生労働省は発症率を低くする3つのポイントを呼びかけています。

1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる

SIDSはうつぶせ、あおむけ、横向きどの姿勢でも発症しますが、うつぶせに寝かせた時の発症率は3倍になります。
病気等で医師からうつぶせ寝を勧められている場合以外はあおむけに寝かせて赤ちゃんの顔が確認できるようにしましょう。

できるだけ母乳で育てる

人工栄養で育てられている乳児のSIDS発症率は母乳で育てられている乳児の4.8倍といわれています。
母乳には免疫物質が含まれていて感染症から赤ちゃんを守るメリットもあります。
可能な限り母乳育児にトライしてみましょう。
世界保健機関も生後6ヵ月までは母乳のみで育児をすることを推奨しています。

保護者等はたばこをやめる

両親の喫煙による発症リスクは4.7倍というデータがあります。
妊娠中の喫煙は胎児の呼吸中枢の発達を阻害することがわかっています。
妊婦自身はもちろん、家族も妊婦や赤ちゃんのそばで喫煙するのを控えましょう。
たばこの受動喫煙で赤ちゃんの呼吸を妨げないようにします。

参考:厚生労働省「普及啓発用リーフレット(発症率を低くするポイント)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000366407.pdf

乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防する見守りのポイント

SIDSを予防するためには、安全な睡眠環境を整え、睡眠中の乳幼児の異変にいち早く気が付くために午睡チェックを欠かさないことが重要です。
午睡チェックをする際には主に以下の4つのポイントに気をつけましょう。

部屋は明るいままにする

睡眠中の子どもの表情や顔色・体位変化が確認できるよう、保育室の照明はつけたままにします。
直射日光や寒さ防止といった必要な場合を除き、カーテンも開けておきます。

部屋は暖めすぎず、換気する

うつ熱を予防するためにも部屋は暖めすぎないようにします。
床暖房やホットカーペットは使用しません。
午睡中は温湿度計で室内の温度・湿度を確認し、空調を調節したり換気したりします。

目視と直接手で触れて呼吸を確認する

子どもの身体に近づき、呼吸音や胸の動きを確認します。
目視だけでは呼吸が停止しているかどうか判断が難しいので、実際に胸や腹部に触れてみます。
触れることは子どもに刺激を与え、呼吸停止の予防になります。
確認する時間の目安は、特にリスクが高い0歳児は5分ごと、1歳児以上は5~10分ごとです。
タオルケットや毛布が顔を覆っている場合は顔が見えるようにしましょう。
窒息だけでなく呼気がこもって体温が上昇するのを防ぎます。

横向きやうつぶせになっていたらすぐにあおむけにする

寝返りで体位が変わったら直ちに身体をあおむけに戻します。
向き癖などで顔が横を向いている場合は顔も上を向かせるようにします。
寝かしつけの際にうつぶせで背中をトントンされるのを好む子どももいますが、寝かせる時にもうつぶせにしないようにしましょう。
うつぶせから体位を変えるのを嫌がり、うつぶせ寝のままになってしまう場合があるからです。
あおむけで入眠する習慣がつくように日頃から寝かしつけていきましょう。

午睡チェックについてはこちらの記事でも解説しています。
https://moqul.net/column/698

ICTシステム「うぇぶさくら」を活用して午睡中の安全対策を

過去に起きた午睡中の事故では、保育士が一定時間ごとに子どもの状態を確認できなかったために事故を防げなかった事例が多々あります。
SIDSを防ぐためには保育士が子どもの睡眠中の状態を確実にチェックできる保育環境が必要です。
そのために活用できるのが保育士の業務負担を軽減できるICTシステムです。
ICTシステムの中には計画類の作成といった事務作業を効率化する機能だけでなく、午睡チェック機能を備えているものもあります。
総合保育支援システム「うぇぶさくら」も午睡チェックをサポートする機能があります。
それが「午睡マット」機能です。
うぇぶさくらではセンサー付きのマットを布団やマットレスの下に設置するだけで午睡中の子どもの心拍、呼吸、体動をモニターできます。
子どもに異変があればアラートで通知されます。
このアラートは別室でも確認できるので、アラートに気が付いた他の保育士も現場に駆けつけるなど保育士同士の連携もスムーズになります。
保育士と午睡マットのセンサーのダブルチェックによって、午睡の安全な見守りが実現可能となるでしょう。

▼総合保育管理システム うぇぶさくら
https://web-sakura.jp/

弊社でもうぇぶさくらを取り扱っておりますので、お問い合わせはお気軽にどうぞ!
https://moqul.net/contact

まとめ

乳幼児突然死症候群(SIDS)は主に1歳未満の赤ちゃんが突然亡くなる病気です。
原因はわかりませんが、あおむけに寝かせる、母乳で育てる、たばこをやめることでSIDSの発症リスクを減らせます。
午睡中の見守りでは、一定時間ごとに子どもの呼吸、表情と顔色、体位を確認してSIDSの発症を予防します。
安全かつ確実に見守るためには、午睡マットのようなICTシステムを活用して保育士とセンサーによるダブルチェックをするとよいでしょう。

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