【連載シリーズ 第4回/全7回】私立中学・高校のスクールバス活用術
スクールバス
2026/08/21 (更新日:2026/08/01)

【連載シリーズ 第4回/全7回】私立中学・高校のスクールバス活用術(第1回はこちら)
第1回の記事で触れた通り、スクールバスの最大の効果の一つが「通学圏の拡大」です。同じ1台のバスでも、ルートの引き方次第で取り込める通学エリアは大きく変わります。この記事では、広域スクールバスのルート設計で押さえておきたい考え方を、実際の運行事例を交えて紹介します。
ルート設計の基本的な考え方
需要データをもとにルートを引く
ルート設計の出発点は、在校生・志願者の住所データです。どのエリアに生徒が多いか、あるいは今後取り込みたいエリアはどこかを地図上に落とし込み、実際の通学需要に沿ったルートを設計することが基本になります。感覚的にルートを決めてしまうと、利用者の少ない区間ができてしまったり、逆に需要のあるエリアを取りこぼしてしまったりすることがあります。
乗車人数とバス台数のバランス
1台あたりの乗車定員(マイクロバスで27〜28名程度)を踏まえ、路線ごとの利用予想人数に応じてバスの台数を調整します。定員に対して利用者が少なすぎる路線は非効率になり、逆に多すぎると積み残しが発生するため、需要の見直しに応じてルートや台数を柔軟に調整できる体制が望ましいでしょう。
路線数を増やしながら通学圏を広げた事例
鹿児島県の鹿屋中央高校では、現在10路線でスクールバスを運行しています。同校がある地域は近隣に公立高校が少ないこともあり、生徒数は増加傾向にあるといいます。生徒数の増加にあわせてスクールバスの路線数も年々増やしており、通学圏の拡大がそのまま生徒募集の広がりにつながっている好例といえます。
路線を増やす際は、既存路線の利用状況を見ながら、新規エリアを1路線ずつ試験的に追加していく進め方が現実的です。いきなり大規模に路線を拡張するのではなく、需要を確認しながら段階的に広げていくことで、非効率な路線が生まれるリスクを抑えられます。
下校ルートは時間帯の分散に注意
登校時と異なり、下校時は学年やクラブ活動の有無によって下校時刻が生徒ごとに分散しがちです。鹿屋中央高校では、下校便を生徒の下校時間に合わせて1日4回運行することで、この分散に対応しています。下校時間帯が集中する登校ルートとは異なる設計が必要になる点は、ルート設計時に見落とされがちなポイントです。
自社運行・委託によるルート管理の違い
熊本県のある高校では、10路線17台という比較的大規模な運行を、すべて学校自身で行っています。スクールバスの担当は教員が兼務しており、ルートの見直しや台数調整も学校内で意思決定できる体制です。自社運行の場合、このように現場の状況を踏まえた細かい調整がしやすい一方、路線数が多くなるほど管理業務の負荷も大きくなるため、担当者の業務量には注意が必要です。
一方、鹿屋中央高校では自校保有のバスと、地元バス会社への運行委託を組み合わせて運用しています。すべてを自校運行にするのではなく、路線の性質に応じて委託を併用することで、路線拡大に伴う管理負荷を抑えながら通学圏を広げている形です。自社運行と運行委託、それぞれのメリット・デメリットについては第3回の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
- ルート設計は、在校生・志願者の住所データをもとにした需要把握が出発点になる
- 路線数を増やす際は、既存路線の状況を見ながら段階的に拡大するのが現実的
- 下校ルートは学年やクラブ活動による時間帯の分散を踏まえた設計が必要
- 自社運行・運行委託を組み合わせることで、路線拡大に伴う管理負荷を抑えられる
スクールバスがまだ来ない?もう行ってしまった?そんなスクールバスの不満と不安を解消したい際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
次回:「スクールバスの置き去り防止安全装置、義務化への対応方法」(8月24日公開予定)
この連載の記事一覧
- 第1回:私立中学・高校がスクールバスを導入するメリットとは
- 第2回:スクールバス導入にかかる費用相場と契約形態(自社保有 vs 運行委託)
- 第3回:スクールバスの運転手、採用は自校で行うべき?業者に任せるべき?
- 第4回:遠方通学者を取り込む!広域スクールバスのルート設計のコツ(この記事)
- 第5回:スクールバスの置き去り防止安全装置、義務化への対応方法(8月24日公開予定)
- 第6回:保護者に選ばれる学校へ:スクールバスの情報共有・連絡体制(8月26日公開予定)
- 第7回:私立中高のスクールバス活用事例(モークル導入校の声)(8月28日公開予定)





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