【連載シリーズ 第3回/全7回】私立中学・高校のスクールバス活用術
スクールバス
2026/08/19 (更新日:2026/08/01)

【連載シリーズ 第3回/全7回】私立中学・高校のスクールバス活用術(第1回はこちら)
スクールバスを運行するにあたり、多くの学校が悩むのが「運転手の採用を自校で行うか、業者に任せるか」という点です。どちらにもメリット・デメリットがあり、正解は学校の規模や体制によって異なります。この記事では、両者を比較しながら、判断のポイントを整理します。
自校採用のメリット・デメリット
メリット:運転手を直接管理できる
自校で運転手を採用する最大のメリットは、運転手を学校の一員として直接管理できることです。生徒への対応方針や緊急時のルールを学校側で細かく設定・徹底しやすく、教職員との連携もとりやすくなります。長く勤めてもらうことで、生徒の顔や通学ルートの特性を熟知した運転手を育てられる点も強みです。
デメリット:採用・運行管理のすべてを自校で担う必要がある
一方で、自校採用の場合は次のような負担が発生します。
- 採用にかかる費用と手間:求人広告の掲載費用や面接・選考の工数が発生します。大型二種免許が必要な場合、応募者自体が限られることもあります
- 教育・研修体制の整備:安全運転指導や接遇マナーなど、運転手教育を自校で用意する必要があります
- 欠勤・退職時の代替要員確保:急な欠勤や退職があった場合、代わりの運転手をすぐに用意できないと運行そのものが止まってしまうリスクがあります
- 運行管理者の配置:ルート管理や車両点検、労務管理まで、専任の担当者が必要になるケースが多くなります
特に「運行管理を自校で行う体制づくり」は見落とされがちですが、運転手を採用するだけでなく、日々のシフト管理や急なトラブル対応まで含めて誰が担うのかを、事前に決めておく必要があります。
運行委託のメリット・デメリット
メリット:採用・管理の手間を丸ごと任せられる
大新東、ジャパン・リリーフ、みつばモビリティといった運行受託会社に任せる場合、採用活動から教育、シフト調整、欠勤時の代替要員手配まで、運転手にまつわる管理業務のほとんどを委託先に任せられます。学校側の担当者は、運行ルートや時刻表の調整など、学校運営に関わる部分に集中できます。
また、委託会社は複数の現場・運転手を抱えているため、急な欠勤があっても代替の運転手を手配してもらいやすいという安心感もあります。
デメリット:直接管理がしにくく、長期的にはコスト高になりやすい
運転手が委託会社の社員である以上、学校側が直接指導・管理することはできません。生徒への対応方針を伝える場合も、委託会社を通じて共有する形になるため、細かい要望が伝わりにくいと感じることもあるかもしれません。また、前回の記事で触れた通り、長期間利用し続けると自社保有に比べて総コストが高くなる傾向があります。
どちらを選ぶべきか、判断のポイント
自校採用・運行委託のどちらが向いているかは、以下のような観点から検討するとよいでしょう。
学校内に運行管理を担える体制があるか
採用・シフト管理・車両管理までを担当できる人員を確保できるなら、自校採用でコストを抑えやすくなります。逆に、既存の教職員がスクールバス業務まで兼務することが難しい場合は、運行委託の方が現実的な選択肢になります。
運行規模・路線数
運行するバスの台数やルートが少ない場合は、自校採用でも管理の手間は限定的です。一方、複数路線・複数台を運行する規模になると、自校ですべてを管理するのは負担が大きくなりやすく、運行委託を検討する学校が増えてきます。
生徒対応へのこだわりの強さ
生徒とのコミュニケーションや安全対応について、学校独自の方針を徹底したい場合は、自校採用の方が実現しやすいでしょう。ただし、運行委託であっても、委託会社との事前の打ち合わせで対応方針をすり合わせておくことは可能です。
ハイブリッドという選択肢も
一部の学校では、基幹となる路線は自校採用の運転手が担当し、繁忙期や欠員時のみ委託会社を活用するなど、両者を組み合わせて運用しているケースもあります。すべてを一方に決め切る前に、部分的な委託から始めてみるのも一つの方法です。
まとめ
- 自校採用は運転手を直接管理できる一方、採用・教育・運行管理まですべてを自校で担う必要がある
- 運行委託は採用や管理の手間を軽減できるが、直接管理がしにくく長期的にはコストが割高になりやすい
- 学校内の運行管理体制、運行規模、生徒対応へのこだわりの強さを踏まえて、自校の状況に合った形を選ぶことが大切
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次回:「遠方通学者を取り込む!広域スクールバスのルート設計のコツ」(8月21日公開予定)
この連載の記事一覧
- 第1回:私立中学・高校がスクールバスを導入するメリットとは
- 第2回:スクールバス導入にかかる費用相場と契約形態(自社保有 vs 運行委託)
- 第3回:スクールバスの運転手、採用は自校で行うべき?業者に任せるべき?(この記事)
- 第4回:遠方通学者を取り込む!広域スクールバスのルート設計のコツ(8月21日公開予定)
- 第5回:スクールバスの置き去り防止安全装置、義務化への対応方法(8月24日公開予定)
- 第6回:保護者に選ばれる学校へ:スクールバスの情報共有・連絡体制(8月26日公開予定)
- 第7回:私立中高のスクールバス活用事例(モークル導入校の声)(8月28日公開予定)






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